ある日、セルゲイが少しだけ恥ずかしそうに「アビスの力をほぼ全て生命維持に持っていった状態ならば、もしかしたら最後まで出来るかもしれない」などと言い出した。
最後まで、というと……つまり、彼の腕よりもずっと太いワークマンの陰茎を受け入れる、ということなのだろうが……。
どう考えても物理的に無理では?そう思って尻に入れるのは指まで、あとはペッティングくらい、たまに挟んだり擦り付けたり……まあ、そういうことに留めていたのだが……。それもこれも彼の身体を思いやってのことだというのに。
ワークマンは知っての通り体格が良すぎるほど良く、普通の魔界人からは巨人なのか?と聞かれるくらいには屈強だ。ゆえにマトモに相手ができるものなどおらず、壊しても問題ない奴隷を使ってみたこともあるが……やはり血塗れの結果に終わってしまったので、もういいか……と思っていた。性行為は穴に入れるものかもしれないが、それだけというわけでもないし。
……と、言い訳をしてみるが、興味がないわけではない。しかし、行う勇気もない。
困ったことに、わりとすぐ夜になった。といってもハーレムはほぼ全日夜のようなものなのだが……時間的にもいいタイミングだ、というわけで。
俺は広い風呂に漬かったまま顎に手をやり、唸りながら悩んだ。濡れた前髪からはぽたぽたとしずくが垂れる。
もし失敗したら良き部下と最愛の弟子を同時に失ってしまうのだが……そのあたりの悩みを彼は分かっているのだろうか……。奴隷を"壊してしまった"時のあの赤い陰茎を見たショックは、案外ワークマンの脳内にこびりついてしまっていたようだ。
もしもアレがセルゲイに起きてしまうと考えると……アビスで強化していたとしても死の危険が大いにある……治療の際にその傷の原因が性行為の失敗だというのもアレだし。
そうやってうんうん唸っていると、ノックと共に浴室のドアが開いた。
入って来たのは裸のセルゲイで、いつも付けているマスクすらつけていない。あまりにも自然に入って来たので、俺は目を丸くしてしまった。
「セルゲイ」
「ん」
思わず名を呼ぶと、潰れた声帯を震わせた唸りのような返事が返ってくる。濡れた床をぺたぺたと歩きそのまま浴槽へと入ってきた。
俺のサイズに合わせた浴槽はやはり深かったのか座ることが出来なかったようで、中腰で立っている。なんだか気の毒になったので膝に乗せてやった。
近くで見てみると、湯の温かさだけではない血色の良さにぱちくりと瞬きをした。……もしかして。
「慣らしてきたのか?」
「……ん」
言い当てられたのが恥ずかしかったのかセルゲイは少し視線をさまよわせ、唇を震わせながらほんの少し頷いた。
なるほど、と尻を撫で穴に指を這わせると、確かにそこはぷにぷにと柔らかい。俺の太い指も簡単に入ってしまうほどだ。ずいぶん頑張ったな?ゆるくかき回すとセルゲイが身をよじる。
「ここでは湯あたりをする。……ベッドでいいな?」
返事はほとんど聞くつもりのない、断定した言葉だった。
自分ながら余裕がない。余裕をなくした原因は腕の中の彼のせいなのだが。
簡単にタオルで包んでやり、比較的足早にベッドへ向かった。床に水滴が落ちて水浸しになってしまっていたが、そんなものは今はどうでもいい。
ベッドにセルゲイをおろすと、緊張と恥ずかしさの入り混じった表情で口元をもにょもにょさせていた。思い切りよく裸で突貫してきたくせにうぶな反応だ。矛盾したそれもまた愛らしい。
俺はまだ濡れたままの前髪を乱暴にかき上げてオールバックにすると、ベッドに乗り上げてセルゲイの上に覆いかぶさった。そうして顔を近づけるだけでセルゲイは恥ずかしがっていたにもかかわらず慣れた様子で、心得たという風に唇を寄せてくる。
度重なる咥内に移植されたアビスの行使で固くなった唇の感触を楽しみ、何度か舌を絡めて結晶化したアビスに触れたりもしてみる。魔力に直結する部位だからなのか、セルゲイは咥内が弱い。
「それで?」
唇を離し目を細めて聞いてみると、セルゲイはとろりとしてきていた顔をキュッと引き締めた。かわいい。むしろこのまま溶かしてやりたい気分だが、勇気を出してやってきたセルゲイの望みを聞いてやることにする。
彼はいそいそと俺の下から這い出ると、口をかぱりと開いて舌にあるアビスの操作を始めた。
青いような、オレンジのような、あるいは紫に明滅して、アビスの光はやがて収まった。セルゲイは一度だけふらりと頭を揺らして、すぐに立ち直る。
「(アビスを身体強化と生命維持にほとんど回した。難点は魔法がロクに使えない)」
「ベッドで魔法を使うこともあるまい。……しかし、大丈夫なのか?」
「(たぶん)」
俺の大きな手のひらにセルゲイの指がするすると踊り、言葉をなぞった。
おおむね昼に言っていた通りのことのようだが……器用なことをするものだ。俺のアビスは常に身体強化と生命力強化を行っているので、魔法に使っていたアビスを身体強化等に回せることすら初耳だ。
セルゲイは俺をベッドに寝かせ、どうやら騎乗位で受け入れるつもりのようだった。
言われるがまま寝転がったが、セルゲイのいじらしく愛らしい様子を見ているうちに俺の陰茎はすっかり立ち上がっていて、少しだけ恥ずかしく思う。
それをじっと見つめて、ごくりと唾をのむセルゲイ。
「無理は……するな。この体格差だからな」
そそり立つ俺の陰茎は、一般的には背の高いはずのセルゲイのへそを超え、みぞおちのあたりまである。容易ではないどころか、まあ不可能だろうなと思う。
「ん"……」
セルゲイは意を決したというような表情をして、ぬるりと先に舌を這わせた。到底口にも入らないので先を舐めるだけだが、どうやらそれは濡らしているつもりのようだった。同時に自らの尻に手を伸ばし、ほぐしている様子もわかる。
その光景がなんとも淫靡で、眉間を寄せてしまった。こいつは……本当に……。
彼はしばらくそれを続けていたが、ふー、と長い息を吐いて体を起こし、陰茎の上にまたがった。どうやら準備が済んだらしい。
「無理はするな」
何度でも言う。愛しいものを失いたくはない。
そんな俺にセルゲイはとろりととろけた笑みを見せて、熟れた蜜壺を見せつけるように指で広げ、陰茎の先をあてがった。
塗りたくられた唾液と、わけもわからぬ透明な液がぬちりと音を立てる。
くぷ、ぷ、ずっ。
「うー、ゥ、ぐ……」
セルゲイが苦しそうに呻きながら、自分の腕よりも太い陰茎をのみ込んでいく。まさか……本当に入るのか。
苦しそうな彼だが、こちらも苦しい。あまりにも狭い腸内は、熱くぬるついて感じたことのない触感で強く締め付けてくる。
いつもコルセットに包まれているセルゲイの薄い腹が不自然に膨らみ、ああ、今そんなところまで入ってるのか、などと分かってしまう。へそが裏返るように盛り上がり、膨らみはまだまだ上へと進んでいく。
「くっ……つらくは、ないか」
「ん、ん"ー……う」
ぷちゅ、という案外小さな音とともに、セルゲイの尻がワークマンの腹に触れた。陰茎すべてを包まれる感覚は初めてのことだった。
セルゲイの腹は胃のあたりまで膨らんでいた。彼は堪えるように歯を食いしばり、ときたまガチガチと鳴らしている。苦しいのだろう。
ワークマンの汗ばんだ胸に爪を立てるのを見て、大丈夫なのかと心配になる。必死になっているので、ちゃんとした返事が返せない様子も心配だ。
「ん"、う……ア」
「ッ、ぬ」
特に動くこともなかったものの、セルゲイは感極まってしまったらしく、ちかちかと唇からアビス光を漏らしてのけぞった。内が強く収縮したので、ワークマンは思わず唸り声をあげてしまった。
これはまずい。中に出すと破裂してしまう気がする。
そのころセルゲイは、声を失っていてよかったなあと思いつつ喉が低く鳴るのを止められず、これならどっちみち同じか、などと現実逃避していた。
根本まで受け入れられたのはうれしいけれど、これ以上動けない。腰を上げたくてワークマンの腹に手をやったが、力が入らない。
「……動けないのか」
ワークマンはセルゲイの様子を見て察し、ウエストを両手ですっぽりつかめるくらいの大きな手で腰をつかんで、ずろろと持ち上げた。ぐう、と嗚咽を漏らす。
極大の陰茎がほぼ抜け去り先端部が入り口に到達したころ、ようやく上の歯と下の歯が離れてアビス結晶に制圧されつつある舌がだらりと垂れた。
だらしなく情けない顔だ。ワークマンはそれすらも愛しいと思っているようだが。
ワークマンはセルゲイにやさしくしてやりたい。
しかし、彼の中はとても……心地が良かった。もう一度挿入したいし、揺さぶってみたくもある。なんとか……壊れたりは……しないようだし。
セルゲイはワークマンがこらえ性がないことを知っている。
やさしくしたいなどと思っているのだろうが、どうせまた内へと入ってくるに決まっている。ベッドに降ろされず、入り口にあてがったままなのがその証拠だ。
今のうちにはぁはぁとした息を短い呼吸に変え、フッフッと酸素を吸い呼吸を整えておく。
そうして、セルゲイが想像していたよりも早くその時が来て、それは想像していたよりもずっと荒々しいものだった。
どちゅん、と音が立つほどに勢いよく腰が下ろされ、その衝撃はまるで修行中に防御を薄くしていた腹を勢いよく殴りつけられた時のようだった。肺の空気が強制的に追い出され、かひゅ、と唾交じりの息が漏れる。
「……すまん」
小さな声で謝罪され、セルゲイはちかちかと点滅する意識の中で苦笑した。なにをいまさら。
「(師匠の、すきにすればいい)」震える指でなぞると、ワークマンの瞳がぎらりと輝いた。
さて、もうどれくらいになるだろうか。1時間……いや、2時間?時計を見れないのでわからない。
手でしっかりと腰を掴んで好き勝手に上下に動かされ、まるでおもちゃで遊ぶように扱われて、意識は飛び飛びだ。乱暴に扱うワークマンは初めての感覚に歯を食いしばり、その感覚に意識を集中させているようだ。
セルゲイの陰茎は随分前から壊れた蛇口のようにゆるやかな射精を続けており、動かされるたびに白濁を散らしている。
腹は破れそうなほどに膨らむが、破れることなくもこもこ膨らむだけだ。その内側では内臓がかき回されてわけがわからないほどの強烈な感覚が脳に走り、セルゲイは意味のない呻きを半開きの口から漏らすばかりだ。
「ッが、ぐ……セルゲイ……!!!」
「ああ"ゥ、イぎッ……」
獣のようだ、とセルゲイはなんとなく思った。こんなに余裕のないワークマンは初めて見た。あまりにも激しいので、いっそセルゲイの頭は冷静だった。身体は意志に関係なく乱れているのだが。
どちゅ、どちゅ、と激しい水音が部屋に響く。どちらのものかもわからない体液が飛び散り、意識は何度失ったかもわからない。
腰を掴む大きな手の力は最初に比べてずっと強くなっており、強化をしていなかったら骨が折れていたかもしれないほどだ。きっと手形が残る。
「グ、ッ……」
あのワークマンが髪を乱して苦しそうな顔をするので、ようやくかと目を細める。
満足してくれただろうか。それならば勇気を出してみてよかったと思う。ひゅう、ひゅう、と吸う息が酷く不安定になって来たので、そろそろアビスの強化にも限界が近いのかもしれない。
ワークマンはそんな私の様子に気付いているのか気付いていないのか、挿抜をいまだ繰り返している。しかし太い陰茎がさらに太く膨らんできているので、もうすぐなのは確かか。
「中にッ……は、まずいか……?」
どうやら理性はまだほんの少し残っていたようで、そんなことを呟いている。
ここまで来たのだから好きにすればいいが、それを伝える力がいまのセルゲイにはなかったので、変わらずされるがままにする。
ワークマンは何を思ったのか、大きな背を丸めてセルゲイに顔を近づけた。そうされると、条件反射的にセルゲイも顔を寄せ、唇を吸う。
こうしていると、なんだか恋人同士のようだな、などと思った。
「ァ」
中に、熱いものがはじけた。陰茎で存分に膨らんでいた腹がさらに膨らみ、注がれる熱いものは内臓を逆流して喉を駆け上った。
聞くに堪えない醜い声と共に唇からぼたぼたと白濁した濃い精液が溢れ、ワークマンの胸へと落ちていく。
「げぇ、オ"」
「すまん」
結局中に出す誘惑には勝てなかったらしい。唇から次々と精液を吐く姿を見てどう思うのかは知らないが、ひどく醜いだろうということはわかる。謝りたいのはこちらのほうだった。
精液に混じったワークマンの魔力が舌のアビスに触れたからなのか、アビスが活性化して身体の回復がずいぶんと早くなったように思う。すこし麻痺していた感覚が鋭さを取り戻して、セルゲイはがくがくと身体を震わせてまたイった。
「ッ……抜く、ぞ」
ワークマンの陰茎は吐精してもなお固く大きいままだったが、流石に抜かずの二回戦はしないようだ。ありがたいことに。
身体を持ち上げられ、ずるりずるりと抜けていく。ちゅぷんと名残惜しそうに吸い付きながら、ようやく全てが抜け去った。カクンと首を傾けて時計を見れば、ちょうど2時間ぶりだった。
口から吐いたのは一部だけだったようで、ぽっかりと開いたままの尻穴からもぼたぼたと精液が落ちていく。もういたるところがドロドロだった。
「酷くした、すまん」
「……ン」
ちゃんと理性が戻ったのかワークマンはやさしくセルゲイの頬を撫で、白濁に濡れた唇に口付けをした。汚いだろうからと顔をそらすが、それでもかまわないという風に追ってくるので諦めて口付けを享受する。
掻き回された内臓はすでに治癒を始めているようで、膨らみを繰り返してゆるんでいた腹はすでにいつものようなぺたんこの腹に戻っていた。アビスに濃密な魔力の籠った精液が掛かった影響は露骨で、いっそ普段よりも調子がいいくらいだ。
「すごく……良かった。もう一度、とはなかなか言えないが」
「ゥ……(私もよかった、です)」
正直言って半分も覚えているかわからないくらいには意識を飛ばしてしまっていたので、はっきりとは言えない。しかし確かに気持ちが良いという感覚が暴走していた。
すり、とワークマンの手に頬ずりをして身を寄せると、足にゴリリと固い陰茎が触れた。萎えないのか……。
「……ともかく、もう一度風呂に行くか」
「(賛成)」
そのあと風呂に行ってもなお固いままだったワークマンの怒気が尻に触れて、またしてもとヒヤリとしたが、尻たぶに擦り付けるだけで満足できたようで、セルゲイの背中に大量に吐精してようやく満足したようだった。
次の日、ワークマンはサルポザとドッグヘッドに少しからかわれたし、セルゲイは通りすがりのヒカルドに二度見をされた。
魔力の残渣とは恐ろしいものだ。
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