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2019/06/07

冤鬼と剣鬼のたわむれ

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彼は怨霊ではあるものの、触れることができるらしい。
彼に憑依されたことによって青く染まった鬼手の爪先が、全身傷だらけな彼の傷の中でもひときわ目立つ背中の大きな傷をカリカリと音がしそうなほどに爪を立ててなぞる。
さらに傷つく様子もなく、血がにじむこともない。上から下に、カリカリとなぞっていく。
この間互いに無言のままだったが、赤く染められた爪をした黒く大きな手が青い鬼手を掴むと共に沈黙は破られた。

「おい」

地の底から響くような冤鬼の声。
目を合わせて――彼は仮面をしているので正確には分からないが――返事を返す。

「……すまない、痛かったか?」

「……いや」
聞くと、彼は頭を振った。

「(……ふぅん)」

どうやら怨霊たる彼には痛覚が無いと見える……が。
「兎に角、もうよせ」
そう言う彼の耳がじわりと血色よくなっているのが見えた。

──なるほど、触られている感覚はきちんとあるのだな。
「(……いいことを知った)」



憑依したてであんまり打ち解けてなくて距離感が分かんないものの剣鬼くんは冤鬼くんに対して色々と恩もあって好感度も高いので剣鬼くんからじわりじわりと近寄ろうとしているくらいの剣冤
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