「…来たのはいいけど、この人たち…誰?」
ギルヲは不満そうにそう言った。
その目線の先には一組の男女。
「キョウでーすよろしこ!」
「ヒナですー」
「いや、名前じゃなくてね」
デートだと思ったのに、などと言っている。
…誰が二人で行くといった。
「うちの部隊長がついていってあげてーだって」
ヒナはにこにこと、悪気がなさそうに言う。
「なんか楽しそうだからきてみたー」
キョウはにやにや笑いながら言う。
なるほど、おせっかいと言うやつか。
ギルヲはまだぶーぶー言っていたが、そんなことはお構い無しに襲撃が始まったようだ。
むこうはレイヴン装備のサラ一人、挑戦者は一部隊がゾロゾロと。
「えげつないねー」
ヒナはじっと崖下で戦う彼らを見つめてそう言った。
レイヴンのサラは詠唱は悉く潰され、瀕死の状態が続いている。
…だが、何故か死なない。何故だろう?
それはいくら考えても考え付かなかった答え。
「ゼロちゃーん、見てるのだけはつまんないから帰らねぇ?」
「断る。来たからには最後まで見る」
「最近してないじゃん。帰ろうぜー」
「こーとーわーるー」
いちゃこらいちゃこら。
ハートが飛んでいるのではないだろうかと思うほどに。
「(…いいなぁ…)」
おせっかい二人はいちゃこらする二人を見つめてそう思った。
ふと、目を合わせ…。
「(…だめだ、タイプじゃない)」
そう思ってまた、崖下を見つめ始めた。
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