「やめっ…んぅ…ひ、」
「ごめんな、ちょっと我慢してくれ」
「やだ…いた、いっ…!」
「ゼーロ、そう言ってもやらないとスッキリしないだろ?」
ぎり、とギルヲの手が俺の腕を押さえつける。
熱が、そこに集まって苦しい。
「早く、終らせ…ろっ…」
「仰せのとおりに」
クス、とギルヲは笑ってまた強く押さえつけた。
ぬる、と汗が滑る。
ゴキンッ
「…っっっっっっだああああああああ!!!!」
「ごめんごめん。俺治療とか苦手なんだわ」
ギルヲはけたけたと笑って俺をなだめた。
俺は涙で潤んだ瞳でギルヲを睨む。
「それにしてももっと上手いやり方があるだろう!」
「そういうゼロちゃんも、なんで肩脱臼なんかしたの?」
そう言われて俺は言葉に詰まる。
『お前を見つけて階段からおっこちた』
…そんなこと言えるほど恥知らずじゃない。
その問いには答えられないと、適当にはぐらかした。
不意にギルヲが俺の顔を見つめて呟いた。
「…あのさ」
「…何だ」
少々不機嫌になりつつ返事をする。
ギルヲの手が俺の手首を掴んだ。
「涙目、ズルいよ」
…またしても、俺は痛みを受けるハメになった。
「…もうやだ…マキ助けて…」
「妹さんに助け呼ぶって、なんかあったの?」
『お前のせいだ』
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