「すっ…好きです!」
「…は?」
間抜けな返事とともに彼、リオが狩っていたハーピーが情けなく地に倒れた。
――二人の間に沈黙が走る。
マキは唇をかみ締め、忙しなく手をいじっている。
リオは相変わらず眉を顰めて固まっている。
…そんな空気に耐えられず、マキは一目散に逃げ出した。
「やっぱりなんでもないです!!!」
「お、おいっ!ちょっ…!」
リオは慌てて追いかけてきた。
マキはそれに気付くと顔を真っ赤にしてさらに逃げる。
「何で逃げるんだよ!!」
「はっ…恥ずかしいんです!!!!」
マキは涙目でそう叫んで、また逃げる。
リオは足を縺れさせつつも追いかける。
…よく分からない掛け合いを続けながら、二人はmobも人もいない、二人きりで平原を走っていた。
「ッ…は、捕まえた…っ!!」
「ひゃっ…」
がし、と腕をつかまれ崖に押し付けられる。
じたばたと抵抗したが女が男に…スカがヲリに勝てるはずもなく、まったく身動きが出来ない。
「何のつもりで?」
「やっ…あ、あのぅ…」
かー、と顔が赤くなるのがわかる。きっと触ると熱い。
「わ、私ずっと前から気になってて…でも恥ずかしくって…」
もじもじとうつむいて手をいじる。
リオははぁ、と溜息をついて持っていた斧を崖に立てかける。
「なんだよ…聞いてないよ、そんなの…」
「で、ですよね!すいません忘れて下さ…」
ぎゅう、と抱きしめられた。多分。
その時のことはあんまり覚えてない。
「あ、あのあのっ」
「うそ。パラスからちょっとだけ聞いてた。でも嘘だと思ってたよ」
「へ、わ、ぱ、パラスさんのばかあああああ!!」
兄に相談するのは参考にならなさそうなので除外。
その兄の友人兼同じ部隊メンバーのパラスにちょこーっとだけ話したが。
パラスとリオが仲の良い友人だということを忘れていた。
「あのっ私…」
「うん。俺も好きだよ」
「ふぇゃあああ!?」
思わず奇声を上げてしまう。
聞き間違い?いや、聞こえた。
空耳?そんなはずがない。
今のはなに?え?俺も好き?ええ?
「前から可愛いなーって思ってたし」
「あ、あのう…」
「付き合ってくれる?」
えいやえいやと流される。
言いたいことがあるはずなのに言わせてもらえないような空気。
私でいいの?とか、冗談じゃないの?とか。
「うん。これからもよろしくね」
「あ、はい。…って、ええ!?」
「俺戦争行くからまた後で。次鋒行きます!ギャアーッ!」
くすくす笑いながらリオは走っていってしまい、すぐに豆粒になってしまう。
マキはぽかんとしたままその場に取り残された。
「お兄ちゃん!また女の人と遊んでたでしょ!」
「そういう妹よ。昨日一緒に歩いてた男は誰だ」
「!」
PR