「しあんさんがいっぱいいるんですがねぇ。」
「飲み過ぎ。」
はぁ、と溜息をついてべろんべろんに酔ったルキを小突く。
なにやら新人が入ったらしく、その歓迎パーティーだといわれ集まってみたものの…
噂の新人は酒豪の隊長に絡まれ酔いつぶれているし、
女性陣は女性陣でなにやら話しているし、
ルキは馬鹿やってボケているし。
再び溜息をついて椅子に座った。
ふとルキを見ると眼鏡を外して机に突っ伏していた。
「おい、大丈夫なのか。」
「んぅー…すこしねむいです…。」
体を揺すってやると、身を起こしごしごしと目をこする。
…何だかいつものルキとは違う、酔っているからだろうか?
「…しょうがないな…。」
三度目の溜息、肩に腕を回して起き上がらせる。
「こいつ、寝かせてきます。」
「いってらっしゃーい。」
「あー、ルキさん。…気をつけてねー。」
マキがくすくすと笑って含みのある言い方をした。
…この間の勘違い事件を思い出して少し恥ずかしくなる。
が、今はそんなことどうでもいい。
ばたん、木の扉が閉まる。
ルキの部屋は異様なほどに殺風景だ。
必要なものだけあって、ホコリもゴミも落ちていない。…綺麗すぎる、部屋。
本当にここで生活しているんだろうか?
「水は?」
「ふにー…」
「…まったく…。」
灰色の布団の下ろすとぎし、とベッドが軋んだ。
そのまま出て行こうとしたが、何故かルキが腕をつかんだまま離そうとしない。
「おい、手。」
「シアンさん、」
ぐい、と腕を引かれ、バランスを崩してベッドに倒れこむ。
とっさに起き上がろうとしたが、ルキが肩をベッドに押し付けていて起き上がれない。
「お、おい?」
酔ってるのか?と言いかけて固まる。
逆光で暗く、よく見えなかったが、ルキはニィ、と笑っていた。
虚ろに、けれどキツく自分を見つめる紅い瞳に、眩暈を起こしそうになる。
「シアンさん…」
「やっ…やめ、」
ルキの白い指が頬を撫でる。くすぐったいようで、なにか違う感覚。
ぐい、と無理に服を肌蹴させ、薄い唇が首筋に紅い痕をつける。
「やめ、ろっ…!!」
「好きです、凄く、好きなんです。」
無理に口付けられ、顔を背けたがまた口付けられる。
舌が割り込んできて咥内で遊んだ。
唇の隙間からぼたぼたと厭らしくどちらのとも分からない唾液が零れ落ちる。
服の下から手が入ってきて…止まった。
ルキの顔を見ると、のんきにすやすやと眠っていた。
どだだだだがちゃんばたん!
いきなり扉が開いて勢いよく閉まる。
顔は真っ赤で口元を押さえていて、なぜか首も押さえている。
眠りこけた男性陣に布団を掛けていたエレスとマキはそんなシアンを見て驚いたような顔をした。
「あ、シアンさん。…どうしたの?顔真っ赤だよ?」
「っ…なんでもない。夜風に当たってくる。」
冷静を装いそのまま外に出て行く。
エレスは何が何だか分からないような顔をしたが、マキはくすくすと笑っていた。
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