狩りから帰ると、部隊部屋には一人の女性がいた。
自分と同じようにマフラーを巻いている。
確かこの間入ってきた初心者さんだったと思うが…もうクレアを装備できるほど強くなっていたのか、と感心する。
「マキさん、でしたっけ。」
「あ、ルキさんですよね。お帰りなさい。」
振り向いて笑う。可愛い人だ。
冷蔵庫から真っ赤なりんごを取り出し、椅子に座ってクヴェーラで器用に剥いていく。
マキはそれを見てクスリと笑った
「宝の持ち腐れじゃないですか、それ。」
「使わないほうがもったいないような気がして。料理の時に使ってます。」
「クヴェーラ持ってない人に刺されますよ?」
「そりゃあ怖い。」
苦笑してりんごを一口かじる。冷たくて、爽やかで。
誰かに言われないとりんごしか食べないくらい、りんごが好きだ。
しばらく静かになる。その沈黙を破ったのはマキだった。
「ルキさんは白いですね。何食べてるんだか。」
「りんごを食べてます。でも、マキさんのがお綺麗だと思いますよ?さすがの私も女性には負けます。」
白く細い指をマキの頬に滑らせる。
ちっとも変わらぬ顔色にルキは苦笑して首をかしげた。
「…おや、慣れてらっしゃる。」
「ここは赤面したほうがよかったですか。」
そういうと頬がほんのり赤く染まる。操っているのか。何をだ。
その時、ガチャリと扉が開いた。入ってきたのはシアンだった。
傍目でみると怪しい雰囲気の二人を見て顔を少し赤くした。
「す、すまん」
顔を逸らして謝り、そのまま出て行ってしまう。
そう、こんな反応が欲しかった。
「「可愛いなぁ…」」
声が、重なった。
「だから、もっとガーッ!と行けばいいのに。手つきからしてテクニーでしょ?」
「首筋でも鎖骨でも触れてしまえばすぐオチますが…あまり乱暴にするのは嫌ですし…。」
「だったら薬を盛ればいいよ。」
「あぁ、なるほど。その手がありましたか。」
…妖しい会話の断片に、隊長やらは中に入れずにいた―…。
PR