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2007/01/05

3

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「アンタ凄いじゃ無い!」



アリスはそう言ってゴンザを抱きしめた
苦しそうに呻き、もがくが離してくれない



「…それはどうも…うぇ、苦し…」
「リシェッドの合格がもらえるなんて…城の部隊にも入れるんじゃない?」


「城・・・かぁ・・・」



城・・・デュクリス城
この国の王族の住むところ


最近不振な動きをしている・・・らしい

城に知り合いがいるから良く知っている



「お姫さまに合えるかもね」
「あぁ、リ・・・姫様ね。写真でしか見たことないからねぇ・・・」






写真でしかみたことが無い?
真っ赤な嘘



ゴンザは小さく笑った



「何?どうしたのよ?」
「別にー」








ゴンザは廊下を走り彼女の元へ
途中で大臣に怒られても気にしない



大きな音を立てて扉を開ける
椅子に座っている彼女は驚いてこちらを向いた



「やっほー!!リン!会いに来たよ♪」
「…あ…ゴンザ、また来たのか?」



リンはそういった
苦笑しながら…でも、少し嬉しそうに



リン…本名リン=デュクリス
デュクリスの姫



自分は少し前から彼女と友達で
…最近日参している気がする



彼女は紅茶を淹れ始めた
甘い香りが部屋を支配する



「オイラ今日、あいつに褒められたんだー」



あいつ、とはもちろんあの鬼教師のこと
よっぽど「合格」が心に残ったらしい



「珍しいな…いつも怒られる、としか聞いたこと無いのに」


「失礼な!!!」



ゴンザはムス、と頬を膨らませた


リンはクス、と笑うと目の前にカップを置いた

カップから湯気が立ち上る
紅茶を一口…



「リンは淹れるの下手だねー」
「…うるさい!」



赤くなった顔を背けて言った



嗚呼
なんて愛しい…



「オイラが教えてあげるよ!!!」
「は!?」


「リンも言ってたじゃーん。「ゴンザは淹れるの上手いな」って!」



ゴンザは強引にティーポットを取り上げ、歩いていく
リンは慌ててついてきた







二人目の愛しい人は

やはり自分の目の前から消えるのか?


それとも

もしかしたら消えないで自分を嫌いになるのかも




(それなら自分は死んでもかまわない)







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