血生臭い。
武器の斧も、命乞いをする青年も、…私も。
『止めて下さい!しょ、初心者なんです!』
情けない…初心者だからといって、手加減するやつなんてこの世界にはいない。
むしろ初心者なんて美味しいカモである。
『知らないよ。戦争はこんなもんさ』
冷たくそう言い放つと青年の目は絶望の色に染まる。
ああ、何だか昔の自分を思い出す。
敵陣に突っ込んですぐに死んで、自軍に迷惑をかけていた事。
くだらない。思い出したくもない。
『おとなしくクリ堀でもしてれば?』
あざ笑うようにそう言って、斧を振り下ろして…
「嘘、でも、あんたは…!」
「ふふ、思い出した?弱かった僕のこと」
逃げ出したい。逃げれない。
嫌だ嫌だ嫌だ。
ごめんなさいといったら許して…もらえそうにない。
「あぁ…勘違いしないでね?僕は復讐をしたくて探してたんじゃないんだ」
怯えるエレスをなだめる様にやさしく囁く。
そっと、小刻みに震える冷たい手が頬に触れた。
「一目見た時から、ずっと君が欲しかった…」
唇に触れる冷たいモノ。
…それはあまりに不器用で、キスとは呼べないような口づけだった。
「でも、さ。国が違って見つかる訳ないと思ってた。…だから」
言いかけて、口を噤む。
逸らした顔が少しだけ赤く染まっていて、なぜか少しだけ可愛く思えた。
先ほどまで感じていたはずの“恐怖”はいつの間にか消えうせていた。
小さく苦笑して、ファトの頭を撫でる。
「欲しい、じゃなくて好き、って言ってくれた方がよかった…かな」
*****************************
何この急展開。
ファトはツンデレでしたとか言うオチか?とかね。
多分次で終わる…(何っ)
PR