「意外と強いんだね、君」
「っは…っは…くそっ…!!」
ジョーカーは血まみれで、槍に体重を預けてやっと立てていられる状態だった。
指でつついてしまえば、もう倒れそうな…それほどの深い傷。
「…ま、君にもう用はないんだ。オイラは早く帰らなきゃいけないから」
ごめんね?
小さく苦笑して、ジョーカーの足を蹴り倒した。
情けなく地にふせる彼に、冷酷な言葉を吐き捨てる。
「王も守れず、自分も死ぬ。嗚呼、可哀想な男だ」
「…… …」
無造作に奈落に王の生首を捨てた。
くす、と笑って虚空に指を滑らせた。
薔薇の香りがして、そして。
大きな音とともに転がり込んできたのは、残りのトランプたちだった。
巫女も共にいる。
「…おやおや。遅いお着きで」
苦笑交じりに呟いた。
血に濡れたゴンザを見て、全員が息を飲む。
そして、足元にいるジョーカーをみて顔を歪ませる。
「あ…あんた…っ!!」
「あぁ、これかい?」
足元のジョーカーをぐ、と足で転がす。
ジョーカーは抵抗しない。…もう死んでいるのかもしれない。
「最後の最後まで王を守ったからね…うちの暗殺部隊に欲しいくらいだよ」
もちろん、嘘だけれど。
彼が来る前にすでに、王は殺していたし、こんな男は暗殺など出来ない。
「っ…お前…!?」
…意外な、反応だった。
ジャックはオイラの事を何も言っていないらしい。
「あぁ、そっか。改めまして…デュクリス国暗殺部隊隊長、ゴンザ=リスエドと、申します」
ゆらりと手を振り下げて、頭を下げる。
血のせいで、左目も赤い世界に覆われていた。
(ショウはまだ始まったばかりなんだっけ?)
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