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2007/01/04

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「あー、眠い・・・」



ゴンザは小さくつぶやいた


ぱこん、と誰かに頭を叩かれる
軟らかい感触からして・・・教科書だろうか



「寝ればいいじゃん」



少女が言った
どうやら叩いたのは彼女らしい


彼女の名はアリス
クラスで一番頭の良い女の子



「って言ってもなぁ・・・次の授業、アイツでしょ」
「あぁ、リシェッドの?」


「うん。オイラ目ぇつけられてるからさぁ」



口を尖らせ、椅子にもたれる
自業自得、とアリスは溜息をついた



「オイラ何もしてないのにー」
「馬鹿。ちぃっとも勉強しないじゃない」


「むー・・・」



ゴンザは顔を伏せた



自分は先生の中心的存在、リシェッドに何故か嫌われている
だから先生皆に目をつけられているのだ
イコール・・・問題児?



リシェッドの教科は『科学』
たまに毒とかを使うから楽しいのだが・・・
…何せリシェッドは「鬼教師」と有名なのだ



テストで合格をもらえること?そんなの無に等しくて
なのに評判はいいという・・・



「始めるぞ」



ガラリ ドアが開いた
リシェッドだ



ちらり、とそちらを向く
目が、合った



「・・・ゴンザ=リスエド。早く席に着け」
「もう席についてますー」



ゴンザは座りなおしてそう言った
リシェッドは眼鏡をかけ直し、教卓に手をついた



にしてもこんな小さな子供に毒なんか作らせていいのか?


ゴンザはふと思ったが楽しいからいいか、と強引にまとめた









「リスエド。やってみろ。簡単な薬だ、できるだろう?」



本を顔に乗せ、眠りかけた所で当てられる
ちぇ、と思いつつ席を立つ


進むたび、振り返る輝く目と目が合う



…この目は、苦手だ
生き生きとして自分と正反対だから



「えーっと・・・」



龍の遺伝子とうろこの欠片とこっちの粉と
…酸だっけ?

頭の中がこんがらがってきた


あれ?こっちがこうでこれが…?



試験管がぶつかり、無機質な音が響く
教室にはその音だけが響いている



「・・・何・・・?」
「こうだっけ…?」



そろそろ膿んできた脳みそをフル回転して
ツ、と少しだけ液体を
いきなり熱を持った試験管を危うく落としそうになる



「あちっ・・・あ、色変わっちゃった。これって成功?」
「・・・お前・・・」


「え、何?…失敗?」



鮮やかな赤に輝く試験管の中のソレ



「…すまない、その薬を見せてくれ」
「?」



リシェッドはじっくりとその薬を見た
眉を顰めて、じっくりと



「…いいだろう、合格だ。…早めに授業を終わりとする」






(この薬が愛しい人を巻き込むなんてまだ知らない)






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