「ジャック君、最近素直になってきたね?」
「うるさ…っくぁ…っ!」
「あーもう…抵抗するともっと痛いよ?」
クス、と笑うとジャックはまた睨んできた。
捕まえてから、二週間。
自分は彼女を愛し続けた。
ジャックは徐々に慣れてきていたが、毎回初めてのような…。
とある人に聞いて話を思い出し、言いかけたがやっぱりやめた。
ジャックは言いかけたのを見て、イライラしたように悪態をついた。
次は何処を嬲ろうか。
そう考えていた時、不意にノックが聞こえた。
「リスエド隊長、失礼しま…ッ!!??」
返事も待たずに入ってきたのは、新入りだったか…いや、前からいたような…。
とにかく、興味も何もない部下だった。
「おやおや、ラルエア君…だっけ?」
ジャックをベッドに組み敷いたままラルエアに声をかける。
ラルエアは、ただただ絶句してこちらを見ていた。
ふと、青い髪を撫でる右手に、痛みが走る。
そちらに目をやると、ジャックがラルエアを睨んで、手に爪を立てていた。
「…あぁ、はい、シーツどうぞ」
ジャックにそっとシーツを渡すと、一つ舌打ちをし、シーツの中に潜り込んでしまった。
「…ところでラルエア君」
「…っは、はいっ?」
すぅ、とジャックを見たまま、ラルエアに声をかけた。
ラルエアは我に返って返事をする。
「何の様だったんだい?」
「い、いえ!あ、挨拶を…」
くだらない。そんなことで邪魔をしたのか。
ククッと小さく笑って、顔を上げた。
「用事が終わったなら早く出て行ってくれるかな?」
ラルエアに、にっこりと微笑みかける。
感情の篭っていない、冷めた目で。
「っひ…わ、分かりましたっ!!」
彼は怯えた目をして慌てて部屋を出て行った。
ゴンザは情けなすぎる部下を見て、呆れたようにため息をついた。
「さて…ジャック君、出て行ったよ」
「…黙れ。俺を…帰してくれ…」
「嫌だよ。だって君はもともとこっちの人間なんだから」
突き放すような言葉を、吐き捨てた。
青い髪を撫でで軽く口付けると、ジャックは何も言わずにシーツに潜り込んだ。
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