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2007/05/19

27

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「あーあー…ハロー?リスエドさんのお宅でしょうかー」



片耳を指で塞いで受話器に話しかけ、返事を待つ。

返ってきた返事は少ししゃがれた男の声だった。



双眼鏡を覗く。かなりよく見える。
目線の先には目標の豪邸…と言っても古ぼけた家なのだが。



その窓の向こうに見えるのは電話に出る老人。
どうやら奴が主人のようだ。みている限りメイドは出かけているらしい。
じゃなければ主人が電話に出ることはあまりない。



丁度、都合が良い。まぁどうせメイドが居たとて皆殺しなのだが。



「今日は一人のようですね」
『…なぜそのことを知っている?』



探るような問い。無論答えはしない。



「今から、夕飯を持って遊びに参りますね。…法を犯したゴズ=リスエドさん…」



くすくすと笑って電話を切った。


多分焦りが植えつけられたに違いない。

人体実験は法で禁止とされている。
…王自体が犯してしまってあまり意味が無いような気もするが。



さて、と息をついてバスケットを持つ。軽い…多分。
中身は毒を仕込んだ料理などが沢山詰まっている。



ゴンザはそれを持ったままひょこひょこと歩き始めた。







重い鉄の門。あの時と何も変わっていない…大きな屋敷。



あの時はメイドたちが走り回って…少しだけ騒がしかった。
けれど今は静かな…老人しかいないだだっ広いだけの家。



この家には小さな頃の思い出が詰まっている。
ジェイドとの。メイドたちとの。…母、との。

けれど今はもう要らない。


後ろを振り向く暇があるなら、沢山人を殺していたい。



あの時と今とは違う。
もう、ただただうずくまっていただけの自分ではないのだ。



歪んだ。狂った。そして幸せになった。
今時分は幸せだ。泣く暇など無いほどに。



ゴンザは外壁の片隅に座り込み、時計を置いた。
この時計は時限爆弾。仕入れたものを改造した特別なもの。

リミットは一時間。


カチ、とスイッチを入れて立ち上がり、背伸びをした。



「さてと、狩りに行きますかー」



その日の空は果てしなく青い、雲ひとつ無い青空。




この青空が赤く染まるのを楽しみにして、ゴンザは大きな扉を叩いた。







(そう、気分はまるで黒い、黒い…死神のように)




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