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2007/02/18

21

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「ふざけるな!!!!そんな理由で死に掛けただと?
 恥曝しにも程があるぞ!!!」



ある日、そんな怒声で目を覚ました
集会所の方から聞こえる



…死に掛けた?
誰かが任務失敗したのだろうが…



ゴンザは寝ぼけ眼で誰なのか、見に行った



野次馬はいない
…怒鳴りつけているのは隊長のウィルより威張っている副隊長だからだろうか



「…すいません」
「すいませんじゃあ済まないだろ!?」



ゴンザはその相手を見て目を見開いた



右目に包帯、頬に傷
腕や脚などにも包帯がまいてある…彼、は



「ジャック!!!今度失敗したら、どうなるか分かってるだろうな」
「…」



副隊長…シュラは無言のジャックを見て舌打ちをすると踵を返して立ち去った



「ジャック君!!」



慌てて走り寄る
ジャックは俯いたまま動かない



「大丈夫!?」



そ、と優しく傷に触れようとして
急に手に痛みが走った



ジャックが思い切り手をはじいたのだ



「…!?」



右手がほんのり赤く染まる
じんじんと広がる痛み



ジャックは自分を睨んでいた
まるでずっと恨んでいた人物を見るように



「…血なんかみたくない…」
「ジャック君…」



「人を殺すなんて信じられない…」



ジャックはそれだけ言うと口を噤み、走り去った






その夜、どきどきしながらもジャックの部屋を覗いた



ウィルがジャックを説得していた
…いや、慰めるというのだろうか



「そんなに、嫌がるなって…俺らも好きでやってるわけじゃ無い」
「…」



ジャックは布団を深く被り、じっとしている
ウィルは溜息をついてその背中を撫でた



「…女々しいぞ?泣いてばっかりだと」
「な、泣いてなんか」



焦ったような声を上げてまた深くもぐりこむ
ウィルは小さく微笑んで



「嫌だったら、逃げろ」
「…え?」



ジャックは驚いて顔を上げた
ウィルはまだ微笑んでいる



「元気出せ、…俺は待ってるからな」



ばしん!と強くジャックの背中を叩いて立ち上がり、こちらに歩いてくる
慌てて立ち去り、自分の部屋にこもった




逃げるなんて、考えたことがなかった



もう、ここが自分の家だと思ったから





(ねぇ、ジャック君は、逃げないよね?)





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