「おーい、ゴンザ?」
翌朝
ゴンザは魂が抜けたかのような顔で集会所に現れた
ウィルは不思議に思ってゴンザの背中を強く叩いた
「元気ないぞ?」
「あー…うん…」
そういって頷き、また虚ろな目で空を見上げる
「ジャックとなんかあったのか?ジャックも何か変だし」
「気のせいにしといて…」
ウィルは苦笑して紙束をゴンザに渡した
「何、これ」
「依頼。お前キレーに殺してくれたからよ、頼んでいいか?」
ゴンザは驚いてウィルを見上げた
依頼の中には隊長格が相手をするような者がいたからだ
「いい、の?」
「あぁ、頼む」
頼られている、ということなのだろうか
そう思って、いいのだろうか
ゴンザは一気に元気が出た気がした
「…次」
ゴンザは懐から紙束を取り出した
ウィルから受け取った書類である
少しだけ血で汚れてしまっている
勿論ゴンザの血ではなく返り血だが
現在三人目
次の「標的」はどこかの村に潜んでるらしい
とにかく探し出して、殺す
最近なんだかとても体が軽く感じる
夜な夜な部屋を抜け出して、受け取った沢山の書類を片付けて行く
真っ赤な血を浴びるたびなんだか楽しくなって
人を殺すのが楽しいなんて異常なのかもしれない
…否、異常なんだろう
けれど楽しくて、止まらなくて
書類を渡されると少し嬉しくなって張り切って
書類の数が減って行く度になんだか憂鬱になって
また、新しい書類を受け取って
でも、何よりも嬉しいのは任務を完了して無事に「家」に帰ると
ウィルが、頭を撫でてくれた
「よくやった」と
けれどジャックは血塗れの自分を見ると脅えて逃げていく
なんどもピアスを捨てようとした…けれど捨てられなくて
でも、いいんだ
これが運命なんだから
(運命は、代わりはしない。それを理解しただけじゃ無いか)
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