「おいおい血塗れじゃねーか、怪我…してねぇか?」
虚ろな目で中に入るとそんな声をかけられた
ウィルだ…どうやらこちらも成功したようだ
「怪我はしてない。…返り血」
「そーか、ならいいけどよ」
受け取ったタオルで肌にこびり付いた血を拭き取る
すでに固まってしまった血はなかなか取れない
…風呂に行って流した方が早そうだ
「風呂行くのか?…今誰か入ってるけど」
「シャワー浴びるだけだし」
ウィルはやれやれ、と苦笑して自分の部屋の方に歩いていった
ウィルの言った通り中には一人、誰かが入っていた
気にせずに血塗れの制服を脱いで中に入った
腕や脚、顔にこびり付いた乾いて黒くなった血液
気持ちが悪い…早く流してしまいたい
ザバッ!
音を立てて小さな水柱が上がる
不思議に思い振り向くとそこにはジャックがいた
「ご…んざ…?」
成長した身体
思わず見入ってしまったが慌てて目を逸らした
「ご、ごめん…気づかなくて」
そういって背を向けて座った
静かにシャワーから湯が流れ出る
しかしジャックは動かず、ゴンザを眺めている
「…?どうしたの?何か…」
恐る恐る手を伸ばす
ジャックは脅えたような目を向けて身体を引いた
ふ、と自分の手を見た
深く浸み込んだ…拭っても消えない赤
流しても流しても落ちない赤
手が震える
何故こんなに染まってしまったのだろう
「じゃ、っく君、脅えないで…」
はは、と苦笑しながらそういった、のに
ジャックは脅えた目で自分を見る
絶望、した
大丈夫だよ、オイラは君を殺さないから
だいじょう、ぶ…
「っ…」
ジャックは下唇をきつく噛んで走って出て行った
(恐怖よりも恐怖される事の方がずっと怖いのに)
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