※グロテスク表現あり。苦手な方は注意してください。
気づけば自分はもう人を壊せるように成長していた
先輩に反対されつつ手に入れた鎖は手に馴染み
一発で人形をぶち壊せる様になっていて
その時にはもう、ずっと体も成長していた
そう
ゴンザは、もう15になってしまっていた
部隊員の証、薔薇の刻印だっていれた
もう、任務に参加できる年だ
「さ、今回がお前の初任務になる」
「…はい」
ウィルはいつもと違う、「人を殺す人」になっていた
雰囲気が違う、目が違う、顔が違う
「必ず、生きて帰れ。…死ぬな」
ウィルはその瞬間だけいつもの顔になった
そして、いつものように乱暴に頭を撫でた
暗殺する相手は肥った男だった
いかにもいい所育ちです、いいもの食べて育ちました
そういう男だった
警備員は多く、トラップも多数あった
…しかし警備員はただの飾りのように弱く、トラップはパズルよりも簡単に解けた
それと同時に、自分は「強者」なのだと感じた
男は泣き喚き、助けを請うた
金はやるともいった
金など要らない
欲しいものなどない
ただ、開いた穴を埋めるだけ
無事に帰って、抱きしめて欲しいから
気がつけば目の前は赤く染まっていた
内臓は引きずり出され、目を見開いたままの顔は血で真っ赤だ
…目を開けたまま死んだときは苦しんで死んだんだ、ということ
誰かにそんなことを言われたことがある気がする
ゴンザは天窓から覗く満月を見上げた
小さな天窓、遠い月
赤く染まった手を月光にすかした
手袋に浸み込む赤い液体
護ってきた清純が壊れたような…くだらない感情が芽生える
人を殺すなんてしちゃいけないこと?
あぁ、じゃあ自分は悪者だ
なんだか何もかもどうでもよくなって声を上げて笑った
狂ったように何度も息をついて
ほら、壊した――
そんな声が聞こえた気がした
(崩壊し始めたらもう、止まらない)
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