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あたしは、空を見つめていた。
青い芝が背中に刺さる。耳元で小さな川のせせらぎが聞こえる。
「ねぇ、フェイ」
「何ね」
フェイはあたしに目もくれず、そう答えた。
「フェイ、あたし幸せだったよ」
「当たり前ね」
ふ、とフェイが笑った気がした。…気のせいなのかもしれない。
視界が霞む。声が掠れる。
暗闇に吸い込まれていく気がする。
「皆の中に入れて楽しかった」
意識が朦朧とする。嗚呼、もう駄目なのか。
ひゅう、と風が鳴った。冷たい風が頬を撫でる感覚が心地よい。
何だか、もう自分が可笑しくてたまらない。
自分の力が仇になるなど、最初は思ってもいなかっただろう。
フェイは何も言わない。あたしのことなんてどうでもいいのかも知れない。
「フェイ」
「…」
何度呼んでもフェイは振り向かない。
ねぇこっちを向いて。もう一度あの時みたいに微笑みかけて。
「ねぇフェイ」
「しつこいね」
少し苛立ちを含んだ声。
でもやっぱりフェイは振り向かない。
不意にあたしはそっぽを向いて傍の小川を見つめた。
町では見れない、綺麗な水の川。
魚は泳いでなかった。だってさっきあたしが全部使っちゃったから。
そのさっきまで泳いでいた魚は近くの水溜りで溺れている。
その水溜りはしとめた敵の血。血溜りと言った方が良いのかな。
けれど魚を暴走させすぎたのかもしれない。
だからあたしは倒れて動けないんだけど。
「フェイは怪我してないかな」
「ハ。ワタシが怪我なんてすると思うか」
あたしを嘲笑う声。最初に戦った時もそんな笑い方をしたね。
色々な思い出がよみがえる。
こういうのを走馬灯というのだろうか。
「この川、湖に流れてるみたい。きっと、綺麗なんだろうな」
ふふ、と自然に笑みがこぼれた。
余裕だね、あたしってば。
「連れて行てやろうか」
「本当?」
フェイの黒い髪が揺れる。
気がつけばあたしはフェイの腕の中にいた。
浮遊感…抱えられているからではない、それ。
きっともう長くないのだろう。
あっというまに湖だった。フェイは走るのが速い。
「わぁ、綺麗」
青い。どこまでも青い湖。
底は見えないが、とても綺麗な澄んだ水。
でもやっぱり魚はいない。
「お前の瞳みたいね」
「…フェイ、それキザ」
くすくすと笑みがこぼれる。
フェイはこういうことをさらりと言う。本当、意外性がある。
「あたしね、生まれ変わったら雲になりたいな」
「…雲?それは蜘蛛とかけてるのか」
「かもね。それに、雲だったら皆の事、見てられるし」
今度は本当に笑った。
久しぶりに見た、フェイの笑顔。久しぶりといっても昨日ぶりだが。
「本当に可笑しいね。お前は」
「それだけが取り柄ですから」
くらり、眩暈。
嗚呼、もうお迎えが来てしまった。
「あたし、ね。フェイのことだいすきだったよ」
いつも自分を見つめていた彼女の眼は、静かに閉じた。
吸い込まれそうな青い瞳。
「ワタシも…お前の事好きだたよ」
だから、きっと死に逝く君を見て足がすくんだのだろう。
早く医者に見せれば助かったかもしれない。
だから、動けない自分に苛立った。
黒い影は湖のほとりにしゃがみこみ、腕の中の少女をそっと湖に流した。
ゆっくりと深い青に吸い込まれていく彼女 は、
溺れて死んだ、哀れな魚の如く。
(沈んだら浮き上がりはしない。だから、湖の底で綺麗に散って欲しい)
ハンターのフェイタン夢。いまさらハンターとか。久しぶりに読んだらすっげ面白かったんだよ。
早く連載開始してよ続き気になるよ幻影旅団もっと出せゲームしてんじゃねぇこのバカが。(最後の方怨恨かよ)
急に書きたくてやった。今は後悔している。
ていうか名前変換できないからヒロイン名前なし。