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2007/03/24 ハンター×ハンター  フェイタン夢

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あたしは、空を見つめていた。

青い芝が背中に刺さる。耳元で小さな川のせせらぎが聞こえる。

 

「ねぇ、フェイ」

「何ね」

 

フェイはあたしに目もくれず、そう答えた。

 

「フェイ、あたし幸せだったよ」

「当たり前ね」

 

ふ、とフェイが笑った気がした。…気のせいなのかもしれない。

視界が霞む。声が掠れる。

暗闇に吸い込まれていく気がする。

 

「皆の中に入れて楽しかった」

 

意識が朦朧とする。嗚呼、もう駄目なのか。

ひゅう、と風が鳴った。冷たい風が頬を撫でる感覚が心地よい。

 

何だか、もう自分が可笑しくてたまらない。

自分の力が仇になるなど、最初は思ってもいなかっただろう。

 

フェイは何も言わない。あたしのことなんてどうでもいいのかも知れない。

 

「フェイ」

「…」

 

何度呼んでもフェイは振り向かない。

ねぇこっちを向いて。もう一度あの時みたいに微笑みかけて。

 

「ねぇフェイ」

「しつこいね」

 

少し苛立ちを含んだ声。

でもやっぱりフェイは振り向かない。

 

不意にあたしはそっぽを向いて傍の小川を見つめた。

町では見れない、綺麗な水の川。

 

魚は泳いでなかった。だってさっきあたしが全部使っちゃったから。

そのさっきまで泳いでいた魚は近くの水溜りで溺れている。

その水溜りはしとめた敵の血。血溜りと言った方が良いのかな。

 

けれど魚を暴走させすぎたのかもしれない。

だからあたしは倒れて動けないんだけど。

 

「フェイは怪我してないかな」

「ハ。ワタシが怪我なんてすると思うか」

 

あたしを嘲笑う声。最初に戦った時もそんな笑い方をしたね。

 

色々な思い出がよみがえる。

こういうのを走馬灯というのだろうか。

 

「この川、湖に流れてるみたい。きっと、綺麗なんだろうな」

 

ふふ、と自然に笑みがこぼれた。

余裕だね、あたしってば。

 

「連れて行てやろうか」

「本当?」

 

フェイの黒い髪が揺れる。

気がつけばあたしはフェイの腕の中にいた。

浮遊感…抱えられているからではない、それ。

きっともう長くないのだろう。

 

あっというまに湖だった。フェイは走るのが速い。

 

「わぁ、綺麗」

 

青い。どこまでも青い湖。

底は見えないが、とても綺麗な澄んだ水。

でもやっぱり魚はいない。

 

「お前の瞳みたいね」

「…フェイ、それキザ」

 

くすくすと笑みがこぼれる。

フェイはこういうことをさらりと言う。本当、意外性がある。

 

「あたしね、生まれ変わったら雲になりたいな」

「…雲?それは蜘蛛とかけてるのか」

「かもね。それに、雲だったら皆の事、見てられるし」

 

今度は本当に笑った。

久しぶりに見た、フェイの笑顔。久しぶりといっても昨日ぶりだが。

 

「本当に可笑しいね。お前は」

「それだけが取り柄ですから」

 

くらり、眩暈。

嗚呼、もうお迎えが来てしまった。

 

 

「あたし、ね。フェイのことだいすきだったよ」

 

 

 

いつも自分を見つめていた彼女の眼は、静かに閉じた。

吸い込まれそうな青い瞳。

 

「ワタシも…お前の事好きだたよ」

 

だから、きっと死に逝く君を見て足がすくんだのだろう。

早く医者に見せれば助かったかもしれない。

だから、動けない自分に苛立った。

 

黒い影は湖のほとりにしゃがみこみ、腕の中の少女をそっと湖に流した。

 

 

ゆっくりと深い青に吸い込まれていく彼女 は、

 

 

 

溺れて死んだ、哀れな魚の如く。

 

 

(沈んだら浮き上がりはしない。だから、湖の底で綺麗に散って欲しい)

 

 

 

 

 

ハンターのフェイタン夢。いまさらハンターとか。久しぶりに読んだらすっげ面白かったんだよ。

早く連載開始してよ続き気になるよ幻影旅団もっと出せゲームしてんじゃねぇこのバカが。(最後の方怨恨かよ)

急に書きたくてやった。今は後悔している。

ていうか名前変換できないからヒロイン名前なし。

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