「お前らいっつも一緒にいるなー」
ウィルは自分の武器、両手剣を磨きながらそういった
ゴンザは練習用人形を編む手を止め、
ジャックは練習用のナイフを磨く手を止めた
「そう?…なのかな」
「さぁ…」
ちらり、と目をやるとジャックは困ったような顔をした
確かにずっと一緒にいる気がする
…ジャックが何を仕出かすか分かったものじゃ無いから
最近は部隊に慣れてきたからいいものの
入ってすぐの時は物を壊すやら人に喧嘩吹っ掛けるやら
腐っても「暗殺部隊」なのだ
もしも相手が切れたとしたら同じ仲間だとしても殺されかね無い
「ジャック君すぐブチギレるんだもん。オイラしか押さえらんないし」
「それはあっちが絡んで来て…!!」
ジャックは華奢で儚げな外見のため女のいない暗殺部隊には「ノンケ」は少ない
…たまに自分も襲われるが
「まぁまぁ喧嘩はよくねぇよ。皆仲良くな」
「だってこのあいだもアイツが…!!!」
後ろにいる銅色の髪をした男を指差した
男は口をぽかんと開けている
「まぁ一回くらいいいんじゃね?減るもんじゃなし」
ウィルは次の瞬間ジャックの拳により空に舞っていた
「にしても、武器どうすんの?暗殺部隊なら絶対必要だぞー」
「武器ねぇ…」
勿論二人とも戦ったことなどない
人を殺したこともない
短剣を持つくらいならしたことはあるが人を殺すためのものなど…
『お前には鎖がお似合いだ』
頭に声が響く
お前は黙っててよ
そう思いつつ考えるふりをする
「俺はこれでいい。…他に考えるの、面倒」
ジャックはぽつりと呟き、ナイフを振った
ひゅん、と風切り音が響く
それにしても周りが男ばかりのせいか彼女の一人称は「俺」に収まっていた
…まぁ、これから男として生きるらしいのでいいとしよう
それに深かった頬の傷は、痕が残ってはいるがすでに治ってしまっていた
…まだ傷を負った日から一週間しか立っていないのに
「オイラはぁ…『鎖』」
勝手に口から滑り出た言葉はそれだった
やられた
いつかに勝手に身体を操られたことがあったのに
「くさりぃ?変わってんなぁ…」
ウィルは驚いたような顔をした
慌ててじたばたと言い訳を考える
鎖?…束縛?
「や、その、束縛好きだしっ!!」
無茶な言い訳をしてみる
いってから後悔した
ただの変態じゃん…!!
「変なやつだなー…」
ウィルはにまにまと笑った
(運命が束縛されている。そんな自分には鎖がお似合いだから)
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