暗闇で、さまよっている自分と
それにぴたりとくっついている大きな影
影は何かを呟きながら目の前に移動し、進行を阻んだ
君は誰?
何のためにいるの?
…オイラは強くなりたいんだ
邪魔をしないで
『力ならいくらでも貸してやる』
それじゃあ、オイラは人を護る力が欲しい
『護る?…護るためには壊すことも必要だ』
壊したくなんかない
皆幸せでいて欲しい
壊すなんて…
『良心に惑わされるな。守るということは敵を壊すということだ
いいな?』
そんなの分からないよ
どうして壊さなきゃいけないの?
人が死ぬのは耐えられない
『仕方ない…貴様のさだめを教えてやろう』
さだめ?
さだめ…って何?
『運命のようなものだ』
…運命…
変える事の出来ないもの
『一生孤独で、一人で過ごすことだ。
貴様の周りにはいつも人がいないだろう』
にやり、と影は笑った
力が抜けていく
一人?孤独?
一生?
さだめ?運命?
どうして?
『いつでも呼べ…わしはいつでも貴様の傍におる…』
いつでも傍に?
君は誰?
どうしてオイラと一緒にいるの?
『わしは…――』
その時
暗闇が開けた
まだ名前を聞いてないのに
邪魔をしないで
そんな叫びは光に溶け込んで…消えた
PR