リンは目を見開いて暴れ始めた
「や…やめてください父上ぇ!!!!!」
あぁ、リンは注射が苦手なんだ
ゴンザはそんなのん気なことを考えた
ちくん、と腕に痛み
少しづつ赤い薬は体を蝕んで行く
投与された所からじわじわと痛みが走る
血管が浮き出て…
リンが叫んだのはその時だった
「っぅぁあああああ!!!」
リンの方を見ると顔を抑えてのた打ち回っている
「リン!大丈…ッふぅあ゙ああ゙!!?」
痛い…
目が、焼けるように痛い
否、まるで焼けた鉄棒を突っ込まれ、ぐちゃぐちゃになるまで壊されていくような
そんな痛み
意識が遠のく…それを痛みが邪魔していた
頭も痛い…それはきっと自分を呼ぶこの声
聞いたことのない濁った声
『ゴンザ…さぁ、一緒に遊ぼう。さぁ、一緒に壊そう』
脳髄に響く声
ざわめく人々
うるさい
「っはー…っはー…っ!」
「ぅ゙あ…はぁ゙…」
リンは息をついて倒れた
どうやら痛みに耐え切れなくて、気絶したようだ
「…失敗…か?」
「どうやらそのようですね」
聞いたことのある声がした気がする
しかし一枚フィルタがかかったようで…よく聞こえない
痛む目を無理矢理開き、ゴンザは人々の顔を見た
王、知らない男、知らない女
その中には父の顔があった
そして、リシェッドも…
「うちの息子が役に立ったようで…」
父はそういってごますりをする
ここでやっと分かった
どうやら父はずっと王達と研究をしていて…
…それでも許せない
「自分で作って自分で試すとは…皮肉なものだ。
…ところで良かったのですか?姫で実験するなど…」
「ふん。そやつはもう姫ではなく化け物だ。気にするな」
そんな王の声が聞こえて…
意識は途絶えた
(自分で自分に大きな闇をどうぞ)
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