こつん、こつん
「こんな地下で何するつもりだろう…」
「王様から聞いてないの?」
「うん…」
リンは怖がっているのか腕にしがみ付いてきた
自分の胸が高鳴るのを感じた
やはり自分はリンが好きなんだと思った
『暗闇グッジョブ!!』
心の中でガッツポーズをする
…もしかしたら動いてたかもしれないが
リンが気にしていないようなので自分も気にしないようにしておいた
「…ここ、かなぁ?」
「えっ!?あ、う、うん。は、入ってみる?」
心の中でうきうきしている時にいきなり話しかけられたものだから
とてもどもってしまった
何て恥ずかしい…
あける時も必死で動悸を抑えるがやはり本能には勝てなかった
きぃぃぃ…
音を立てて古い鉄の扉が開く
中には白衣を着た…しかし医者とは何かが違う人々がいた
その中には王の姿もあった
たくさんの機械、名も知らぬ薬
診察台が二つ並んでいる
「…遅い」
「ち、父上…すみません…」
リンはびくびくとしながらそう言った
ゴンザの腕を抱きしめる腕に力がこもる
笑顔を見せて、安心させて
「大丈夫だよ」
リンは小さくうなずいた
ゴンザは冷静を装って王に歩み寄る
「それで、何の用なんですか?」
「じきにわかる。…リン、こちらにきなさい。君もだ」
リンは脅えるようにゴンザに隠れた
その腕を白衣を着た男が掴んだ
「やっ…!」
ゴンザはその手を取ろうとしたが腕を掴まれ、出来なかった
二人は診察台に連れて行かれその上に座らされた
ぐい、と袖を捲くられ、消毒液で浸したコットンで拭った
「少し、痛むが我慢しなさい」
キラリ、と輝いたのは注射針
中に入っている薬は鮮やかな赤に輝いていて
…何処かで見たような、気がしないでもない
(薬は恐怖、薬は凶器、薬は強靭、薬は…破壊)
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