非公式日本語翻訳です。
自分の文体に改変してるところもあるからニュアンスで読んで。
サンキュー
Papagoアンド
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Kpedia
http://df.nexon.com/df/pg/gatheringeve#3公式ページ
https://www.youtube.com/watch?v=dl_xw2DgOkU韓国語だが聞きながらだと楽しい
ちょっとした解説
セカンドパクト:スミラを首長としたサモナーの組織。契約召喚ではなく精霊召喚を主とし、精霊犠牲さえも扱う。ほとんどが子どもであり、スミラの子どもたちとも呼ばれている。精霊犠牲に良心が耐えきれなかったのか、若干気が触れている。
スミラ:元サークルメイジであったが、サークルメイジ首長ケイトとの折り合いが悪く、人員をいくらか引き抜きつつセカンドパクトを立ち上げた。若干気が触れている。
ケイト:サークルメイジの首長。契約召喚の始祖である偉大な人物ではあるが、召喚獣を優先しがちで、若干召喚士に非情のケがある。
サモナールム:サークルメイジのナンバーツー。スミラの元カレ。ケイトを優先したばっかりにフラれた。
セカンドパクト"スミラ"の話一歩踏み出すために足を上げた。腕を振り回してみたり、叫んでみたりもした。しかし、思うようにならない。かすかな光さえ感じられない完全な闇の中。少女はすべての感覚を奪われたまま、声のない悲鳴をあげた。押し寄せる暗闇から逃れるためにあがいた。しかし、そうすればするほど、闇は少女をさらに深くへと導いていった。
「スミラ」
聞き慣れた声が耳をかすめた。とても落ち着いていてほっとするような声。闇の中に閉じ込められて行き場を失い不安と恐怖に震える少女を、光のある場所へと導いてくれる救いの手だった。しかし、どうしてか少女は胸の奥からくる窮屈さを感じた。感情がねじれ曲がって、やがて怒りが込み上げた。
「スミラ」
またしても声が聞こえてくる。「うるさい……やめて」しかし、声は出なかった。「いったい誰なの!」声を張り上げた。声は出なかったが、声がかすれた感じがした。再び怒りが込み上げてきた。わけのわからない殺意が沸いてきて、すべてを壊してしまいたいという衝動に駆られた。
「黙れ!」
少女は力いっぱい腕を振り回した。暗闇が割れていき、その隙間に光が差し込んだ。青い光に包まれた平和な森が目の前に広がった。
「あ……」
少女は突然開かれた光景をぼんやりと眺めた。倒れて血を流している子どもたち、わけの分からない爆発で粉々になった精霊の残骸、最後に自分に飛びついてくる火の精霊。
「ええ、そう……」
少女は自分に飛びかかる火の精霊をものともせず、何かを悟ったように反対側を見つめた。そこには白い髪の毛を持った女性が切羽詰った表情をしたまま、少女の名前を呼んで手を伸ばしていた。
「そう、あなただったの」
少女は女性に向かって微笑んだ。しかしすぐに表情を一変させ、殺意に満ちた目つきで女性を睨みつけた。
「ケイト!」
巨大な炎が巻き上がり、目の前の全てを燃やし尽くす。血を流す子どもたちも、粉々に砕け散った精霊の残骸も、そして白い髪の女も全部、全部、全部……。
少女。いや、今はもう女性へと成長したスミラが目覚める。
無表情でしばらく天井を眺めていたスミラは、のろりとベッドから起き上がる。もう忘れてもいいくらいなのに、忘れられない記憶。長い時間が経っても、いまだに足を引っ張ってくる。苦痛も痛みもないが、不快で窮屈な記憶。
「ふう…」
長く息を吐きだし、さらさらした銀髪を手で撫で下ろす。
「スミラ」
乾いた声が聞こえてきた。先ほどまで夢の中で何度も名前を呼ばれていた彼女は、ドキリとして顔を上げ声が聞こえてきた方向を見た。
青白い肌をした無表情の子どもが、片手には杖、もう片手には手紙を握って立っていた。スミラはそんな子どもを見て唇を噛んだ。「バシンッ!」空気を裂く鋭い音とともに子どもが床を転がる。しかし、子どもは何事もなかったように無表情で立ち上がり、先ほどと同じ姿勢で同じ所に立った。
スミラがゆっくりと立ち上がる。たったいま子どもを襲った鞭が床に広がり、彼女の右腕にくるくると巻き付けられる。子どもへと近づいた彼女は、腰を曲げて右手で子どもの顔を強く掴んだ。その頬は赤く腫れ、唇は破れて血が滲んでいた。それでも苦痛を感じたり恐怖に震えたりしている様子はない。
「いい子ね」
子どもの表情が気に入ったのか、あっさりと掴んでいた顔を離す。悪夢で感じた不気味な感覚が消え、さわやかな気分だった。
子どもは静かに手紙を差し出した。子どもの唇からしたたった血の跡が残っている手紙には、見慣れた文様が描かれていた。魔界で最も強力な力を持つ勢力のひとつである、テラコタの紋章だった。スミラは本能的に眉をひそめた。相手をしても良いことが一つもない集団。勢力争いの末、ホワイトストーンからくる冷たい風が吹きつけるここクイーンズまで追い込まれてしまったのも、元はと言えばこいつらのせいだ。精霊なんかに感情移入して干渉するサークルメイジのやつらと同じくらい、傲慢で鼻が高い腹立たしい連中だ。
「誰が伝えてきたの?」
「黒魔術です。門の前に。老人が」
言語能力に問題があるため、ちゃんとした文章で話せない。そんな子どもを見つめたスミラは、手紙に視線を戻す。手紙を開けてみれば分かる内容だ。しかし、何だか気が乗らない。しかし、悩みは長続きしなかった。とりあえず内容を見てから判断しても遅くないと思ったからだ。手紙を密封しているテラコタの紋章をむしり裂くことで小心な八つ当たりをしたスミラは、しばらく静かに手紙を読んだ。
「……クッ、アハハハハ!いいわ、いいわね。なんて楽しそうなのかしら」
手紙を読んでいたスミラが声高く笑い出す。そして手紙をぐしゃりと丸めて火鉢へと投げ捨て燃やしてしまい、無表情で自分を見つめていた子どもに近づき、顔を引っ張って命令した。
「子どもたちを全員集めて」
「集合ですか?楽しいですか?」
「ええ、きっと楽しいわよ」
スミラの言葉を聞いた子どもは驚くほど奇怪な笑みを浮かべ、「ウィヒヒッ!」という気味の悪い笑い声を上げて走っていった。先ほど虐待したのとは違う愛情のこもった表情でその姿を見つめていたスミラは、窓際に近づき、魔界の月デラリオンを眺めた。
予期せぬ提案だった。はるか彼方のハーレムの夜の摩天楼で起きた事件については、すでにいくつかの方面で情報を集めてある程度は知っていた。魔界全体が震動した事件。この事件は"使徒"と呼ばれる災いと関連があり、カシュパは何かを得ようとこの中に飛び込んだのだという。それを防ぐため、守護者たちと憎たらしいサークルメイジが動き出した。ずっとそれを注視してきたテラコタは、急変する事態に備えようとしたのだろう。
しかし、これ以上の情報はなかった。ハーレムから遠く離れたクイーンズに閉じ込められ、活動に制約を受けているのだ。いかなる勢力や情報源もセカンドパクトには情報を提供しようとせず、最近では露骨に情報を遮断していたほどだ。
どうにか魔界の情勢を維持しようとする勢力の仕業だった。情報一つで一気に有力勢力に急浮上する場合があったため、現在の均衡を維持しようとする勢力の立場では当然の措置だった。
かつては大きく名を馳せたセカンドパクト。牽制は当然のことだっただろう。しかし、そのかつての威勢を取り戻そうとするスミラにはもどかしい状況だった。情報がもっと必要だった。ハーレムで起きたその事件の情報が!
「月食の時、多くの召喚士が死んでさえいなければ……」
やはり間抜けなことをしでかした幹部たちをすべて処断するべきだった。そうすれば少なくともこのイライラは消えたのに……。
しかし、手紙は届いた。それも"均衡を維持しようとする勢力"の主軸からだ。
手紙の内容も破格。しかも、手紙を持ってきたという黒い魔法の老人には心当たりがある……いや、明らかだった。"あの者"だろう。自分たちを巻き込むというのが目的なのがありありと分かる。情報を提供し、一回目の会合に参加した勢力に与えたような"権限"を与える。その代わり、そこに集まる勢力の間でバランスを取れという意味だろう。つまりはその中の、さすがのテラコタと言えども気難しい勢力の相手をしろ、という話だ。
「サークルメイジ」
スミラは良い気持ちになった。毎回不快な邪魔ばかりしていた老人だが、今度ばかりは感謝した。損はあるだろうが、その後からの利得を考えれば十分だ。そのうえ、あの日から今の今までずっとずっと憎悪してきたあの女と対等に立つことができる機会まで得た。
いつもいつも精霊との交感を叫んでいた……儀式に失敗した子どもたちが精霊に攻撃を受ける中でも、精霊を守ろうとしていた!火の精霊に飲み込まれた瞬間、どうにか支配の輪を発動させて生きようとした行動すらも阻んだ偽善者!
「ああ…ケイト!欺瞞に満ちた偽善者!ついに……ついにあんたを!」
今回のことが終われば、きっと二度とあの悪夢を見ないだろうという直感。老人が望むことを成し遂げれば、暖かい場所に勢力を拡張することができるだろう。
「どこがいいかしら?この身震いするほど寒く恐ろしいクイーンズさえ抜け出せられればどこでも構わないけど……いいえ、もう少し欲を出してみようかしら?そうね、セントラルパーク周辺がいいわ。もしかしたらその中に入ることも出来るんじゃないかしら。そうなったら……」
ここまで考え終えたスミラは下を見下ろした。デラリオンの光がさす空き地には、いつの間にか子どもたちが集まり、揃って無表情で彼女を見上げていた。皆が愛しい。天から授かった才能を持って生まれ、ようやく自分の手で完成した天才たち。親密さを感じた精霊を支配して犠牲にする矛盾に精神をおかしくしてしまったが、そんなところまでも愛らしい子どもたち。異様な現象に巻き込まれて何人かが跡形もなく消えてしまったけれど、子どもたちはまだまだたくさん残っている。
そんなスミラの気持ちが通じたのか、彼女と目を合わせた子どもたちの表情が一つ二つと、異様な表情に変わっていった。無言の歓呼が空を埋めつくす。
魔界の月デラリオンは彼らの狂気を隠すように光をおさめ、姿を隠していった。
スミラはうっとりした顔で暗闇に包まれた子どもたちの目を見つめた。
「さあ、行きましょう。私の子どもたち。新たな約束を守る時間よ」
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