非公式日本語翻訳です。
自分の文体に改変してるところもあるからニュアンスで読んで。
サンキュー
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Kpedia
http://df.nexon.com/df/pg/gatheringeve#2公式ページ
https://www.youtube.com/watch?v=XzjJZkM_E6I韓国語だが聞きながらだと楽しい
ちょっとした解説
サークルメイジ:サモナーケイトを主とした召喚士の組織。ケイトが召喚獣を優先しがちなので、少し反対意見が出ている。
サモナールム:サークルメイジの実質的ナンバーツー。ケイトが始祖ではあるが、ルムが組織内最強であると言われている。
スミラ:サークルメイジに所属する召喚士のひとりであり、ルムの彼女だった。契約召喚よりも精霊召喚を好んでいた。
セントラルパーク:荒廃した魔界の中でも、ケイトが手塩にかけて美しい草木を復活させた場所。他の場所に比べるとかなり自然豊かで環境が良い。
サークルメイジ"サモナールム"の話「不思議じゃない?」
何もない空中に生まれた召喚陣が光を放つ。召喚陣の中心に元素の力が集まり、やがて見慣れた形になった。丘の下、誰もいない場所に召喚されたナイアドが訳が分からないというふうにキョロキョロとあたりを見回している。女性は丘に腰をかけ、そんなナイアドを見下ろしていた。独り言のようにつぶやいた彼女の声に耳を傾ける。
「何がですか」
「精霊たちよ」
また、精霊についての話か。彼女は精霊について話すのが特に大好きだった。ルムは自分が知っている精霊に関する知識を話すべきかしばらく悩んだ末、言葉を飲み込んだ。彼が知っていることを彼女が知らないはずはなかったからだ。
「意志を持った生き物を召喚するには、どんなにつまらない生き物でも契約という手続きが必要じゃない?野原に散らばってるただのアウクソーでもね。それなのに、もっと莫大な力を持つ精霊たちは、召喚魔法と元素に対する理解さえあればいくらでも召喚することが出来るわ。まるで、エレメンタルマスターたちが元素の力を借りて使うみたいに」
「変な例えですね」
ルムは自分の声がすこしきつく聞こえてしまうのではないかと心配した。
「おまえならそう言うと思ってたわ」
彼女が丘の上に吹いてきた風で華奢な肩を震わせる。ホワイトストーンから来ているかのような冷たい風だった。ルムはローブを脱ごうとしたが、彼女は笑って首を横に振った。彼女が立ちあがり長い髪が風に煽られひらひらと踊ったのを、ルムはぼんやりと眺めていた。
ナイアドはその時になってようやく丘上の二人の存在に気づいたようで、丘を登っていた。ようやくナイアドが丘を登り切ったが、彼女はにっこりと笑って召喚を解除した。しばらく動いていた水の精霊はたちまち元素に変わり、空気中のマナに戻っていった。
「そうやって急に精霊を帰しては……」
「やめて、ルム。小言はあとでまとめて聞くわ」
彼女はいたずらな表情でルムを見返した。その姿に呆れたルムは、仕方なく言おうとした小言を飲み込んだ。そうして、二人は丘を下りてセントラルパークの中心に向かって歩き始める。
「今回の召喚儀式も負傷者がでたんですって?」
召喚儀式はケイトの導きの元、彼女が呼び出した召喚獣とサークルメイジの他の召喚士たちが契約する儀式のことだ。異界の存在と契約するのは召喚士なら誰もが夢見ることだったが、実力がなければ怪我をすることが多いため、油断することは出来ない。
「誰か一人が死んでからやり方を変えるのかしら」
「気を付けてはいるが仕方ないことでしょう。別の存在と契約で結ばれるというのは、二つの世界が合わさるのと同じくらい異質なことですから」
ルムは思わず自分の胸元を撫でた。その服の下には古い傷跡がある。完全に治るまでかなり時間がかかったくらい深い傷だった。彼女はそんなルムの様子を見て眉をひそめる。
「命をかけてまでそんな危ない契約をする必要はないと思うわ。事前に用意した魔力で召喚獣が暴れないよう、制御してしまえば……」
「スミラ」ルムの声が少し高くなる。
「召喚の最初の約束は理解と共感ですよ。もちろん安全装置は必要ですが、ケイトのやり方が間違っているとは思いません」
召喚獣の安全を最優先に考えるケイトのやり方について不満の声が上がっているのはルムも知っていた。数日前には、一部の反対派が支配の輪を利用した召喚儀式を進めようとしていたことが発覚し、組織から除名されたこともあったからだ。
「おまえが怪我をするよりも、召喚獣のほうが重要なわけ?」
「私と同じくらい大事なことです」
スミラは唇を震わせながら何かを言おうとしたが、結局最後には固く口を噤んでしまった。
「いつかあなたが契約をしたら、私の言葉を理解出来ると思いますよ」
「わかった。この話はやめましょ」
ルムはそんな彼女を見て苦笑した。精霊召喚に造詣が深い彼女は、まだ他の存在と契約したことがない。
「今度の会合に代表で出るんですって?」
「私に資格があるかどうか、分かりません」
「心配しなくていいわ。サークルメイジにおまえより優れた召喚師はいないもの」
スミラはにっこり笑って彼の肩を叩いた。セントラルパークの中心に近づいたせいか、どこからかさわやかな草の香りがしてくるような気がした。
「私が保障してあげる」
「ルム」
ルムは過去の記憶から抜け出し、目を開いた。サークルメイジのローブをまとった幼い少年が自分を起こしていて、ルムは少年の名前を思い出そうとしたが、よく思い出せなかった。
「ああ、交替の時間ですか?」
ルムはあぐらをかきながら座っていた岩から軽く飛び降りた。
「いえ、もうすぐ出発の時間です」
ルムは頭をもたげ空を見上げた。瞑想に入る時に見たデラリオンはいつの間にか姿を消し、かすかな光が魔界の唯一の緑地であるセントラルパークを照らしていた。
「では、皆を起こさないといけませんね」
「もう、皆支度を終えています」
そんな少年の言葉通り、人々はキャンプ場を整理し荷物をまとめたまま、ルムを眺めていた。ルムが瞑想にふけっている間、彼らで寝ずの番をしていたようだった。
「教えてくれればよかったのに。みんな疲れているでしょう」
リーダーのケイトがセントラルパークに滞在し精神的な支えとなっている間、ルムは組織の様々な仕事を任されていたため、いつの間にか自然にルムがケイトの代わりにサークルメイジの実務に取り組む位置になっていた。彼がどんなに特別扱いをするなと頼んでも、人々が依然として気兼ねするのは当然のことだった。
「おじゃまをするのもあれですから」
少年は苦笑いして、ルムは静かにため息を吐いた。
「出発しましょうか」
息を吸うとセントラルパークの空気が肺をいっぱいに満たした。汗を流すと、少し気分が良くなったようだった。せっせと足を速めていたルムのそばへ、さっき彼を起こした少年が近づいてくる。
「大丈夫でしょうか?」
ルムと目が合った少年は好奇心溢れる目付きで慎重に話を切り出した。
「お名前は何でしたっけ?」
ルムが聞いた。
「アダンです」
「よろしい、アダン」
ルムは背中に背負っている荷物を持ち直し、その後彼を見た。
「怖いですか?」
「はい、正直に言えば。色んな団体が集まるなんて……心配です」
「それは、初めて召喚獣と契約した時よりも?」
ルムの言葉にアダンはにっこりと笑った。
「それはありませんね。きっと死ぬ時まであの時ほど緊張することはないでしょう」
アダンの言葉に他の召喚士たちが小さく笑った。ルムも彼を見ながら微笑んだ。
「じゃあ、大丈夫ですよ」
アダンはしばらく考え込み、明るい表情でうなずいた。
「前の会合の話をして欲しいです」
周辺で会話をしていた人たちの話し声が、とたんに静かになった。
「あまりにも有名でしょう。いまだ広く知られているほどには」
アダンの言葉通り、以前の会合は誰もが知っているほど有名な事件だったが、各組織の主要人物だけが出席した席だったので、その日の驚異的な出来事を直接目にした人の数は多くなかった。ただの不良集団扱いをされていたカシュパの急浮上と、"アビス"という新しい力の威力、蔑まれていた魔道学の宣伝、噂が事実だと確認されたバトルメイジの戦闘力、そして伝説として聞いたマレリットの旋律まで……。誰もそんな素振りは見せないが、皆がルムの次の言葉に耳を傾けていた。
ルムは口をもごもごさせながら、どうにか適切な言葉を選んだ。外に出したいと思う単語が多すぎて、むしろ言葉が出てこなかった。しばらく考えて、やっとルムはその中で最も尖った言葉を吐き出した。
「"セカンドパクト"については、聞きましたか?」
「やめてください、スミラ!」
スミラに一歩近づくと、支配の輪に操られているアグニが燃えるような熱気を吐き出した。ルムは急いで引き上げた魔力で盾を作る。
「サークルメイジは、今回も召喚士たちが傷つくことを無視したわ」
ルムは言葉を詰まらせた。会合での敗北以降、落ち込んだ雰囲気をなんとか盛り上げようとしたのは彼の考えだった。先日行われた召喚の儀式にて、無理をして強い存在を召喚したが制御することが出来ず、かなり多くの負傷者を出してしまったのだ。巨大化した組織に亀裂が入るのは一瞬だった。いや、もしかしたらずいぶん前からひびが入っていたのかもしれない。
「ケイトはいつもそう。私が統制を失った精霊に攻撃された時も、私より精霊の様子を見ていたわ」
「だから森に火をつけて、その間に人々を引き抜いて逃げたのですか?」
スミラは返事をしなかった。彼女の隣に立っていた召喚師が1人言った。
「サモナールム。私たちはサークルメイジと違う道を歩むことにしました。帰ってください。それが一時期でも私たちを代表していたあなたに捧ぐ、最後のお礼です」
ルムはそんな彼の言葉を無視して、スミラに向かって手を伸ばしたまままっすぐ進んだ。支配の輪が締めつけられると、アドルは足をもがいてさらに強い火を噴き出した。殺意を含む酷い熱気だった。スミラは笑っているのか叫んでいるのか分からない表情でルムを眺めていた。
「私たちは支配を通じてより大きな力を手に入れるわ。召喚から身を守る力を」
スミラが手を差し伸べると、アグニがルムの前に飛びかかった。ルムは魔力を集めてバルカを召喚しようとしたが、一瞬の迷いは適切なタイミングを奪っていった。支配の輪がさらに明るい光を放ったことと、アグニが断末魔の悲鳴を上げて爆発したのはほぼ同時だった。爆発に巻き込まれて意識を失っていく間も、ルムは遠ざかっていく彼らの後ろ姿から目を離すことができなかった。
丘を登ると、辺りの風景が変わった。周辺の植物は他の場所よりも生命力に満ちていた。ケイトが滞在するセントラルパークの中心部に近づいた証拠だった。そして、丘の上には何人かの人々が彼らを待っていた。
「お久しぶりです、ルムおじさん!」
出迎えのピピがルムに向かって飛びついた。彼女の活気に満ちた姿に、長い距離を歩んできた召喚士たちの口元に笑みが浮かぶ。
「話は大まかに聞いていたでしょう?」
ルムはに微笑んでピピの頭を撫でた。少し離れたところで、彼らに向かって微笑むケイトと、少し不安そうな表情で立っているパイの姿が見えた。
「来てくれてありがとう、ルム」
ルムは首を横に振って彼女の挨拶に応えた。
「やるべきことをやるだけです」
「魔界の強大な組織がハーレムに集まっています。テラコタの空虚のロンが、再び会合を提案しました。厚かましいお願いですが……今回も私と一緒にサークルメイジを代表して参加して欲しいのです」
丘の上に風が吹き去っていく。ホワイトストーンから来ているかのような冷たい風だった。ルムはふと、自分たちが上って来た丘の下を見下ろした。
もちろんそこには何もなかった。
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