非公式日本語翻訳です。
自分の文体に改変してるところもあるからニュアンスで読んで。
サンキュー
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https://www.youtube.com/watch?v=5vdDvOvfICs
韓国語だが聞きながらだと楽しい
ちょっとした解説
古代図書館:古代テラの技術を研究している場所。魔道学者がいっぱい集まっている組織であり、大事な文献を大切に保管している図書館。
モニカ:古代図書館の所長。魔界での魔道学の地位を爆上げしたすごいひと。
イッキー:古代図書館に所属するトリックスター。第一次魔界会合にてニウに負けているので、リベンジを目論んでいる。怒ると相手をカエルにする魔法を使う。
フィリップ・ラム:珍しい男性魔道学者。イッキーにいじられがちでよくカエルにされている。不憫。
古代図書館"イッキー・ザ・ビッキー"の話「今日からあなたも立派な魔道学者です。禁忌に背かないこと、研究を怠らないこと、魔道学者の名に相応しい者になること。わかりますか?」
子どもは言葉を失って震えていた。モニカの眼鏡越しに見えるエメラルド色の瞳は揺れることがない。
「返事は?」
「……はい」
やっと絞り出した答えは消えそうなほど小さかった。どくどくと脈打つ心臓は息をつく暇さえ与えてはくれない。モニカは子どもと目を合わせるために曲げていた腰をまっすぐ伸ばすと、しばらく考え込んだ。次に発する適切な言葉を選んでいただけだったのだが、子どもには断固として厳格な師匠の姿に威厳が加わるだけだった。
「……あなたも私が認めた子です。もっと自信を持ちなさい」
「はい!」
モニカの言葉を聞いた子どもの声がとたんに嬉しそうに弾み、その首にかかった賢者の石が喜びに反応するように赤く輝いた。魔道学という学問は古代図書館を訪れたすべての人々に開かれているものではあるが、魔道学の聖杯と呼ばれているその石は、実力と才能を認められた者だけが持つことの出来るとても貴重なものだった。新米の魔法使いを正式に魔道学者に任命し聖杯を授ける場所にするには図書館内の館長室は質素にも感じられるが、エルティングメモリアル事件以降の一連の過程を考えると、慎重を期すようになるのは仕方のないことだった。
部屋を出ていく子どもの足取りはほうきに乗っているかのように軽い。モニカはその小さな背中にそっと手を伸ばした。指が何かを描き、その手先からは澄んだ生命の光が咲く。ファミリアだ。
「あの子を見ていて」
冷淡だったモニカの声がずっと優しくなった。フローレスセントがその場で飛び上がると、他のファミリアたちにも分かるように子どもの後を追った。開いたドアに沿って飛んでいく子どもたちを目で追うと、間を開けずして分厚い古書数冊をわき腹にはさんだフィリップ・ラムが視界に入って来た。整えられているがよれてしまっているシャツ、気にしたように見えるがぼさぼさした髪。見るだけで、昨夜も一晩中本を読んだり研究に没頭していたらしいと言うのが分かる。
「モニカ先生、前回おっしゃった内容について整理してみました。それと、参考になりそうな本も何冊か選んできました」
「ありがとう。イッキーはまだ意地を張っているの?」
「それが……先生とまた話さないと、と朝から大騒ぎでしたよ。公式の手順通りに書類まで作成するので、とても止められない……」
「書類?まさか……」
「モニカ姉さん!」
声の主は敢えて確認しなくても分かる。モニカは低くため息を吐いた。ラムは分厚い眼鏡をかけ直して困惑している。
「あたし、会合に行く!今度こそニウに勝たなくっちゃ。あの時はちょっぴり間違えちゃっただけってことを見せつけてやるの!」
黒いマントをなびかせながら威風堂々と登場した少女は、まさにイッキー・ザ・ビッキーだった。図書館の魔道学者の、赤い瞳のおてんば娘。一度心に決めたことはあらゆる事故を起こしてでもやり遂げなければ気が済まない、なんていう彼女の性質を知らない人は、この図書館にはいない。
「その話はもう終わったと思いますが?」
「ロンだかロングだかっていうおじさんからの手紙を勝手に開けて読んだのは、ごめんなさい。反省する意味で、ラムが書けっていうのは全部書いてきたよ!」
「反省文ではなく訪問書類です。手伝わなければ今度はカエル3日だっていうから……」
イッキーの目がめらめらと燃え上がった。それを見たラムの顔に浮かぶ疲労はさらに濃くなった。黙々と二人を見守っていたモニカはゆっくりと背を向けて窓に向かう。彼女の手は机の角を通り過ぎ、テラコタの模様の入った封筒の上で止まった。その全ての元凶である封筒を指先でトントン叩く音が恐ろしい。イッキーもラムも黙って様子を伺っていたが、モニカの意識は遠い過去に吸い込まれていた。
モニカが古代図書館のすべての知識を身に付けたにもかかわらず、より多くの知識への渇望を抑えられなかった時代。魔道学の根幹を成すという気持ち一つで魔界8面を歩き回り、古代テラの資料を探しまわった時代。偶然読んだ古書に書かれた文章の一行を読み、テラ文明の中心地だったというブルックリンに向かって2本の足で歩いていったその日、ブルックリン郊外のある廃墟と化した建物の中でモニカはイッキーに出会った。
「近寄らないで!ぶっ壊すよ!」
昔も今も、イッキーは怖がっているときほど声が大きくなった。拾い集めた廃品で作ったらしい粗悪な機械数台を前面に押し出した泥だらけの少女は、やせた体つきに見合わぬ強い声で叫んだ。
「カエルになりたいの!?」
脅迫なんてものはモニカの耳には届かない。モニカの両目はイッキーが作ったスクラップの塊だけに向いていた。粗雑で生半可だが、それは古代テラの技術を真似たものだった。図書館では見つからなかった資料を得るだけでも大きな収穫だと思った。しかし、この機械、そしてあの子。私と同じものを見て、感じて、感動した人がこの世にもう一人いたなんて。モニカは胸が膨れるようなくすぐったいものを感じた。それは喜びと似た"感情"のせいだということは、後になって分かったことだ。
イッキーは、なにかに憑かれたように一歩を踏み出す見知らぬ者に向かって杖を突き出した。きっと魔法学校の人たちと同じだ。面白くもないし退屈な勉強なんかやめるって何回も言ったのに。飽きもせずやって来て、真の魔法使いとは~なんて身だしなみを気にする人たちに、イッキーはウンザリしていた。
「魔法の勉強なんてしないから!」
けたたましい爆発音を立てイッキーの機械が跳ね上がった。モニカは後ろに下がりつつも慌てなかったし、判断も速かった。あれは少女が放出した魔法エネルギーのせいで機械が動いているように見えるだけだ。その才能は実に驚くべきものだったが、モニカは少女にもうちょっと違う世界を見せてやりたくなった。イッキーはふわふわと舞うほこりの風の間から、自分に向かって伸びてくる手を見た。
澄んだ夜、デラリオンに似た銀色の髪、いつかに見た宝石をちりばめたような青い瞳。とがった耳は確かに魔界人のようだが、今まで見たひとたちとは雰囲気が違う。杖もなしに素手で何をしようとしているのか。気になる暇もなくモニカは答えを見せてくれた。指先から咲いた純粋なエネルギーが、イッキーの機械に向かってまっすぐに飛んでいったのだ。
「だめ!」
慌てた瞬間、光が機械の中へ入っていった。イッキーは何日も念入りに作った機械を失くしてしまったと思い途方に暮れた。しかしすぐに、機械は細かく振動し始めたのだ。
「動いてる……?」
初めてのことだった。習った魔法を総動員しても動いてくれなかった機械が、ガタガタと変な音を立てて動いていた。目を細めて機械の中でもぞもぞしているやつを伺うと、他のファミリアたちが周りをうろうろしながら喜んでいた。途端に、ポンという音とともに目の前で光が飛び散った。イッキーの最初の作品が粉々に壊れ、四方に散らばったのだ。
「うーん……機械内部の欠陥のせいだと思います。どんな資料を参考にしたのか見せてくれれば……」
「あははっ!動いた!動いた!どうやってしたの?ねえ、あの小さいやつら、どこから来たの?」
両頬を赤く上気させた少女が、そうやってきゃあきゃあと笑った声をモニカは覚えている。浮き足立ってぴょんぴょんと跳ねた姿を覚えている。そのあとも古代の図書館に戻るまで多くの出来事があったが、モニカはその少女と一緒にいると心に決めたことが、この世で最も良い決定だと思ったものだ。
「モニカ姉さん!」
いつものように少女がモニカを呼ぶ。モニカはゆるりと振り向くと、イッキーの赤い瞳と視線を合わせた。
「今回の会合は、あの時のように戦って競い合うものではありません」
「で、でも……」
前回の会合を思うと、イッキーはお腹が痛くなってしまう。最初は、魔道学がどんなに素敵で素晴らしい学問なのか、会合を通じて皆に見せたかっただけだった。何日も何日もモニカにせがんでようやく許可を得たし、つまんない小言ばっかり言うに違いないラムを納得させるために、大事にしていた"カエルの昼寝キャンディ"まで犠牲にした。もちろんあのニウを苦戦させたイッキーの機械は魔界人たちが魔道学を見直してくれるきっかけにはなってくれたが、イッキーには結局負けてしまったという事実だけが残っていた。
「魔界全体を覆っていた黒い気運に、夜の摩天楼で起きた騒動。ひとつひとつ考えても、今回のことは普通ではありません。それに……」
"使徒"が関係しているのではないか。口には出さず沈黙を選んだモニカは、厳しく表情を固めた。情報。そう、情報が必要だ。縄張り争いにも権力争いにも興味はないけれど、今回だけは古代図書館も会合に出なければならなかった。
モニカの沈黙は長くなかった。
「……会合に行っても、おとなしくしていてください。いたずらにニウに言いがかりをつけたり、機械を出してもいけません。じっと同じ席に座って、何分でも何時間でも話を聞いているだけかも知れません。イッキー、それでも会合に行きますか?」
「ほんの少しも見せちゃだめなの?今回作った機械はあのときとは比べものにならないほど素晴らしいものだよ!"
「いけません」
頑なな言葉のあと、刹那の静けさの間。心の中で目算していたイッキーが目を輝かせながら答えた。
「わかった!」
「それから、ラム?」
今度こそ会場の見物が出来るかもしれない、そう思ったラムの口元は嬉しさを隠せないようにむずむずした。
「私が席を空ける間、古代図書館をお願いします。信じて任せられる人はあなたしかいません」
開いた窓のすきま風がヒュウと音を立てた。一寸先も分からぬ未来に対する不安、予期せぬ結果に対する妙な緊張……。がっかりしてしまう気持ちを押し隠したまま、ラムはゆっくりうなずいた。
古代図書館の魔道学者たちが、ページをめくり始める。
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