「何だか、呼んでくれて嬉しいねぇ!いつもはオイラの事避けてるじゃない?」
「そ、それはいつもベタベタついて来るから…」
リンはおどおどしながらそういった
ゴンザは小さく笑うと背伸びをした
「うっれしいなぁ…これでオイラも一歩大人に近づいて…」
「ご…ゴンザ」
リンがもじもじとしながら声をかけた
何?とゴンザは振り向いた
「誕生日、お…おめでとう…」
す、と手渡されたのは一つのピアスだった
ゴンザはそれを受け取ってかざした
暗い青のクロス
光に透かせばリンの髪の様に明るい青に輝いて
「…これ…」
「…お揃い」
リンは照れつつも自分の左耳に手を添えた
銀色のクロス
光を反射してキラキラと輝いている
ゴンザは嬉しくなって家紋のピアスを外し、そのピアスを付けた
「ご、ゴンザ!?」
「オイラ、多分家を捨てるよ。…リンと一緒に生きる」
「…ゴンザ…」
リンは顔を真っ赤にした
ゴンザはその頬を撫でて
口づけをしたくなったが、止めた
二人はベッドに座って話をしていた
リンは時計を気にしていて
「どうしたの?」
「父上が…呼んでいた。…この時間に来いって」
リンは不安そうな顔をしている
リンは父…この国の王が苦手だ
昔からあまり甘やかされず、教育ばかり
…まぁそこに自分が割り込んで邪魔をしたから
今、リンは自由なのだが
やはり父のことは苦手らしい
「…王様が?何のようだろ?」
ゴンザは疑うような声で言った
あの王の言うことだ、碌な事はないだろう
最近何か研究をしている、と小耳に挟んだこともある
「二人で、来いって…」
「リン、行ってみよっか!」
好奇心ゆえ、そういってしまう
誰でも何があるか気になるものだ
…自分だけだろうか
ゴンザはリンの手を引いて扉を開けた
(この愚かな決断が惨劇を招くとも知らずに)
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