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2019/12/11

マスクの代わりに包帯を巻いたセルゲイにムラつくワークマン。
えっちなお話書くったー診断結果「首に噛み痕、背中に爪痕」



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部屋の外から聞こえてくるゴツゴツと言う重く硬い足音はセルゲイのものだ。
いつも通り執務机に座って書類仕事をしていたワークマンは、今日は随分と遅かったなと時計を見て思う。普段ならばもう2、3時間は早い時間に来るのだが……頼んでおいた任務がゴタついたのだろうか。

間を開けずしてノックの音が響き、扉が開く。
書類から顔を上げて見たセルゲイは見慣れた黒いロングコートに見慣れたアッシュブロンド――しかし、顔だけはいつもとは違っていた。
顔の大部分を覆う特徴的なマスクをしておらず、変わりになにやら白い包帯をぐるぐる巻きにしている。
それに、どこか険しい顔をして気が立っているように見えた。いかにも、機嫌が良くない。

「……怪我をしたのか?」

思わず挨拶もせずにそう聞いてしまった。
しかし聞かれたセルゲイは怪訝そうな顔をしてから、ああ、と今思い出したという風に口元に手をやった。

「(マスクが壊れた。直るまではこれを巻く)」

一見ただの包帯に見えるが、これは次元学に基づくちゃんとした魔法装備なのだ、というふうにセルゲイは続けた。
魔力で空中に書かれた文字列を目で追って、ワークマンはなるほど、と頷く。
そういえばヒカルドが管理しているファイトクラブ所属のディメンションウォーカーが似たようなものを付けていた気がする。あれと同じものだろう。

「戦闘したのか?」
「(魔獣の不意打ち。駆除済み。怪我はない)」

平然としてすらすらと文字を綴るので真実だとは分かる。が、やはりイラついている……マスクが壊れてしまったから機嫌が悪いのだろうか?
それにしても、なんだか見慣れなくてむずがゆい。すらりとした頬のラインも鼻筋も、唇の形すらもよくわかる……。
ひょいと手招きをするとセルゲイは素直に近づいてきて傍に立ち、不思議そうに少し首を傾げた。無遠慮にその頬を掴んで、観察するように色んな方向を向かせる。

「んぅ」

頬を掴んだせいで包帯が緩み、その隙間から唇が覗いた。間もなくムッと尖り不服に思っているらしいというのが伺える。
……劣情を催した。いつもより装備が薄いために顔の作りが透けて見えるからか?
マスクをしていない姿はバスルームおよびベッドでしか見れないため、あられもない姿を連想してしまうからかもしれない。

頬を掴んだままガタと椅子から立ち上がりセルゲイを見下ろす。
セルゲイはびくりと一度肩を跳ねさせて、唇を歪ませて眉間にしわを寄せた。ワークマンの昂りを察したようだ。察せもするか。

「セルゲイ」
「(まだ昼)」

包帯を軽くどけて親指で唇をなぞる。熱を帯びた声で名を呼ぶと、セルゲイは露骨に嫌そうに眼前に大きな文字列を綴った。
手でそれを霧散させて、つれないな、なんて肩を竦ませる。そのまま、腕力にものを言わせて足が浮くくらいに腰を引き寄せ抱き上げて、食らいつくように口付けた。
ばさ、と書類が床に散らばる。

「んん!」

抗議するように拳で肩のあたりを叩かれるが、体格差ゆえに微動だにはしない。それに、口付けを続けているうちにその力すらも弱まっていった。
抱き上げたセルゲイを執務机に下ろし座らせて一度唇を離すと、セルゲイの擦れた吐息が漏れた。

「は、あ゙ぅ……」
「――良いな」

ほどけてしまった包帯がもう引っかかっているだけのセルゲイは頬を耳まで赤くして、それでもなお険しい顔をしていた。煽情的だが、いつになく強情だ。

唇の端から垂れる唾液を舐め上げてもう一度口付けに入ると、背中にセルゲイの腕が回ってきた。
流されてくれるのだろうかと気を良くしてコートに手を滑り込ませてゆるく反応している股間と尻を撫でたら、背中をギギギと引っ掻くように掴まれた。
その拍子にズキリと背中の傷が痛む。先日セルゲイを抱いた際に背中に爪を立てられて出来た、割と深めの引っ掻き傷だ。

止めさせるために唇を離して抱き寄せ腕を掴む。
そうすると、今度は首筋に思いっ切りがぶりと噛み付かれた。これには流石のワークマンも痛みで肩が跳ねたし、顔もしかめた。

「……そんなに嫌か?」

なだめるように腰を撫でながら聞くと、ますます歯が深く食い込む。嫌らしい。はあー……。熱を逃すついでの深い深いため息が出てしまった。
抱き締める腕を緩めて背中をさすると、くちゃ、という音と共にセルゲイの歯が首から離れた。

「お前を抱こうとすると俺はいつも傷だらけになってしまうな」

噛まれた首を撫でるとぬるりと滑った。
濡れたセルゲイの唇は頬よりもずっと赤く染まっていて、紅を塗ったようになっている。親指で拭うとずるりと伸びた。

「(夜だけ)」
「分かった、分かった。もうしない」

先ほどよりも大きな文字が眼前に煌々と光り、降参というふうに両手を上げる。セルゲイはワークマンをじとりとした目で見てから手の甲で唇を拭った。

どうしたものかな、と椅子に腰を下ろしてまた深いため息を吐く。興奮により膨れた股座は、まあ、放っておけばそのうち収まるだろうが。
そう考えながら顔を上げると、いまだ机に座っていたセルゲイが顔に包帯を巻き直し終えたところだった。白かったはずの包帯が血で汚れている。

「……やはり、良いな」

またぎろりと睨まれてしまった。

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